(I-7-7)チームでの一貫した関わりの重要性を学んだ一症例~重複障害児の5年間を振り返って
【はじめに】摂食機能が未熟な児に対し訓練を通じ摂食機能の発達を促す事は重要である. しかし摂食機能以外にも問題を抱える児に関わる保護者にとって摂食機能訓練に取り組むことの負担は大きい. 本症例は精神運動発達遅滞(以下PMR), 広汎性発達障害(以下PDD)を合併した重複障害児で, 母が児の特徴を捉えスタッフと一丸となって取り組み, 摂食機能の改善に至るまで5年を要した. この間の関わりを振り返り考察を加え報告する. 【症例】平成10年4月出生8歳女児. 疾患名は先天性水頭症, 障害名はPMR, PDD. 合併症は痙攣発作. 運動機能は定頚10ヶ月, 座位1歳6ヶ月, 独歩4歳4ヶ月. 2~6歳...
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Zusammenfassung: | 【はじめに】摂食機能が未熟な児に対し訓練を通じ摂食機能の発達を促す事は重要である. しかし摂食機能以外にも問題を抱える児に関わる保護者にとって摂食機能訓練に取り組むことの負担は大きい. 本症例は精神運動発達遅滞(以下PMR), 広汎性発達障害(以下PDD)を合併した重複障害児で, 母が児の特徴を捉えスタッフと一丸となって取り組み, 摂食機能の改善に至るまで5年を要した. この間の関わりを振り返り考察を加え報告する. 【症例】平成10年4月出生8歳女児. 疾患名は先天性水頭症, 障害名はPMR, PDD. 合併症は痙攣発作. 運動機能は定頚10ヶ月, 座位1歳6ヶ月, 独歩4歳4ヶ月. 2~6歳まで肢体不自由児通園利用. 【経過ならびに総括】指導当初の摂食機能としては基本的な嚥下は獲得しているが捕食・押しつぶし時の口唇閉鎖が不十分などの未熟さがあった. 児の状況や母のニーズを踏まえて関わった経過を3期に分ける. 第1期(2~3歳)生活リズムの乱れにより食事中に寝てしまい栄養や水分量の確保が難しく不足すると痙攣発作につながる為, 母, スタッフ共に量の確保を優先的に関わった. 第2期(4~5歳)運動機能や耐久性が向上し食事中に寝なくなるがPDDの特徴からくる問題行動(集中しにくい, こだわり)が強く見られ関わりにくくなり母の負担感が増した. 第3期(5~6歳)問題行動に配慮し仕切りや皿に一品提示する環境設定で摂食機能訓練に取り組みやすくなった. 同時に母もPDDの診断告知により児の特徴を理解し家庭でも特徴に配慮し関わった結果, 捕食時の口唇閉鎖, 前歯噛み取りが可能となり, 咀嚼機能が向上した. 以上より摂食機能が改善した要因はPDDの問題行動に配慮した環境設定をし, 母も児の特徴を理解し配慮した関わりができたことである. 母も含めたチームでの一貫した関わりに至るまでには児や母の問題点を整理し優先順位を考えて対応する視点が重要であった. |
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ISSN: | 1343-8441 |