(I-4-10)右下完全側臥位で自力摂取を獲得したことにより自宅退院につながった重度球麻痺症例

【目的】これまで摂取姿勢に強い制限がある重度嚥下障害患者が自力摂取できるようになるのは困難であった. 今回重度球麻痺を呈したワレンベルグ症候群の症例で, 体幹角度30度右下完全側臥位にて自力での食事摂取継続が可能となり自宅退院できたので報告する. 【症例】67歳女性. 平成17年9月26日発症の左延髄外側梗塞(ワレンベルグ症候群), 小脳梗塞. 初期評価時意識清明, 四肢麻痺を認めず. 重度球麻痺にて唾液嚥下不十分. 栄養ルートは経鼻経管栄養. 慢性関節リウマチにて病前からADLは介助レベル. HDS-R30点. 【経過】10月24日当院転院直後から間歇的経管栄養(以下OE)開始. 初回VF時...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Hauptverfasser: 早崎さくら, 福村直毅, 石川理子, 田口充, 斉藤弘子
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】これまで摂取姿勢に強い制限がある重度嚥下障害患者が自力摂取できるようになるのは困難であった. 今回重度球麻痺を呈したワレンベルグ症候群の症例で, 体幹角度30度右下完全側臥位にて自力での食事摂取継続が可能となり自宅退院できたので報告する. 【症例】67歳女性. 平成17年9月26日発症の左延髄外側梗塞(ワレンベルグ症候群), 小脳梗塞. 初期評価時意識清明, 四肢麻痺を認めず. 重度球麻痺にて唾液嚥下不十分. 栄養ルートは経鼻経管栄養. 慢性関節リウマチにて病前からADLは介助レベル. HDS-R30点. 【経過】10月24日当院転院直後から間歇的経管栄養(以下OE)開始. 初回VF時(11/1)代償手技を用いても直接訓練は不能と評価し, 間接嚥下訓練を開始. 2回目VF時(12/2)健側が下になる右下半側臥位, 頸部左回旋, 顎突出位で少量の水分は可能となる. ジュース等の直接訓練とバルーン法開始. 3回目VF時(1/10), 体幹角度30度右下完全側臥位で水分, ゼリー, 粥が複数回嚥下にて摂食可能. 翌日, 右下完全側臥位で自力摂取可能であることを確認し3食ゼリー食から開始. 3週間後ペースト食まで摂取可能となり, OEは経口のみで十分な栄養をとれるようになった時点で終了となった. 4回目VF時(3/7)では側臥位が必要と判断. 自宅退院の際は日中独居の為自力摂取が必要であり, ゴール設定を体幹角度30度右下完全側臥位でソフト食自力摂取とした. 4月14日より3食ソフト食開始. 4月21日に自宅退院となった. 【考察】本症例は重度の球麻痺が残存し体幹角度制限を解除できなかったが, 完全側臥位にすることで安全な自力摂取が可能となり, 結果自宅退院にっながった. 重度嚥下障害者であっても認知機能面が良好な場合, 完全側臥位での自力摂取ができる可能性があり, ADLやQOLを拡大できるのではないか.
ISSN:1343-8441