(I-3-4)脳幹病変による嚥下障害患者への針筋電図の施行.上咽頭収縮筋,口蓋舌筋へのアプローチ
【目的】我々は脳幹病変に起因する重症の嚥下障害に対し, 機能的電気刺激(FES)の適応を検討中である. 脳幹病変による嚥下障害に対し, FESの対象となる舌骨周囲筋群に加え, 上咽頭収縮筋, 口蓋舌筋の針筋電図所見を施行し検討したため報告する. 【対象と方法】対象は当科にて嚥下障害の入院治療をした, 脳幹病変を有する患者12例(平均年齢60.5±9.4歳). 病変の内訳は橋2例, 延髄9例, 延髄および小脳1例であった. 舌骨周囲筋群(頤舌骨筋, 顎舌骨筋, 甲状舌骨筋, 胸骨舌骨筋)に対しては仰臥位にてアプローチした. 口腔・咽頭筋(舌筋, 口蓋舌筋, 上咽頭収縮筋)に対しては45°リクライ...
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Format: | Tagungsbericht |
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Zusammenfassung: | 【目的】我々は脳幹病変に起因する重症の嚥下障害に対し, 機能的電気刺激(FES)の適応を検討中である. 脳幹病変による嚥下障害に対し, FESの対象となる舌骨周囲筋群に加え, 上咽頭収縮筋, 口蓋舌筋の針筋電図所見を施行し検討したため報告する. 【対象と方法】対象は当科にて嚥下障害の入院治療をした, 脳幹病変を有する患者12例(平均年齢60.5±9.4歳). 病変の内訳は橋2例, 延髄9例, 延髄および小脳1例であった. 舌骨周囲筋群(頤舌骨筋, 顎舌骨筋, 甲状舌骨筋, 胸骨舌骨筋)に対しては仰臥位にてアプローチした. 口腔・咽頭筋(舌筋, 口蓋舌筋, 上咽頭収縮筋)に対しては45°リクライニング位にてアプローチした. 口蓋舌筋, 上咽頭収縮筋は従来の方法では施行困難であるため工夫した針電極を使用した. 【結果】上咽頭収縮筋の評価は12例中11例に施行し, 延髄病変10例中4例に脱神経電位を確認した. 一方, 橋病変2例では脱神経電位が確認されなかった. 口蓋舌筋の評価は, 12例中7例に施行し, 2例(延髄病変1例と橋病変1例)に脱神経電位を確認した. 舌骨上筋群では, ほぼ全例に脱神経電位を認めず, ほぼ病態生理に合致する所見が得られた. 随意収縮に関しては半数で干渉波の減少をみた. 【考察】口蓋舌筋, 上咽頭収縮筋は工夫した針電極の使用にてある程度の評価が可能であった. しかし, 唾液や咽頭絞扼反射の出現で安静が保ちにくく, 施行には困難さを伴った. 延髄病変にて疑核が障害されている場合, この2筋ではいわゆる脱神経電位が認められるはずである. 一方, 舌骨周囲筋群には脱神経電位を認めないと考えられる. 今回の研究では, 観察できた範囲内では病態に矛盾しない結果と考えられ, FESが嚥下機能再建に応用可能であることを再確認し, 今後の脳幹障害の嚥下障害評価に広く応用したい. |
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ISSN: | 1343-8441 |