II-P5-9 全量を経口摂取可能となった気管切開, 胃瘻造設施行の重症脳挫傷の1例
経口摂取は不可能と考えられていた重症脳挫傷の1例が, チームアプローチにより全量を経口摂取可能となったので報告する. 【症例】51歳, 男性. 50歳時, 両側前頭葉に脳挫傷を受傷し, 続発性に両側前大脳動脈領域にも広範な脳梗塞を併発した. 経口摂取は不可能と判断され気管切開, 胃瘻造設を施行. 受傷約4ヶ月後に当院へ全身状態の管理を目的に転入院となった. 転入時, 失外套症候群, 強い四肢麻痺, 拘縮を呈しており, カニューレによる呼吸管理と, 胃瘻による栄養管理がおこなわれていた. 【経過】転入直後からアマンタジン100mg/日が投与開始となった. その後他患の喫食を注視するようになり,...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2005, Vol.9 (3), p.423-424 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 経口摂取は不可能と考えられていた重症脳挫傷の1例が, チームアプローチにより全量を経口摂取可能となったので報告する. 【症例】51歳, 男性. 50歳時, 両側前頭葉に脳挫傷を受傷し, 続発性に両側前大脳動脈領域にも広範な脳梗塞を併発した. 経口摂取は不可能と判断され気管切開, 胃瘻造設を施行. 受傷約4ヶ月後に当院へ全身状態の管理を目的に転入院となった. 転入時, 失外套症候群, 強い四肢麻痺, 拘縮を呈しており, カニューレによる呼吸管理と, 胃瘻による栄養管理がおこなわれていた. 【経過】転入直後からアマンタジン100mg/日が投与開始となった. その後他患の喫食を注視するようになり, 嚥下動作も出現するようになったことから, 病棟スタッフから嚥下評価をおこなうべきとの提案があった. 受傷7ヶ月後に嚥下造影検査(VF)を施行. 1回目VF所見:介助によってジェリーが口腔内に入ると, 咽頭への送り込みはスムーズに行われ, 咽頭反射も正常に出現した. この時点でジェリーの経口摂取を開始した. 2回目VF所見(受傷9ヶ月後):粥, ご飯の嚥下が可能であることを確認し, 全粥を開始した. 経口摂取量は増えていき, 結局全量を経口摂取可能となった. その後, ご飯に変更. 発熱もなく, 喀痰も少なく, 気管カニューレも不要となった. 胃瘻も不要となり抜去. 最近では全身状態がさらに改善し, 家族に対して頭を振って意志を伝えることが可能となっている. 経口摂取の改善と周囲への反応, 全身状態の改善は平行して出現していると考えられた. また本症例に関わった病棟スタッフにとって本症例は大きな達成感を与えるものであった. 【考察】(1)重症脳挫傷, 続発性脳梗塞を呈している症例でも嚥下機能がほぼ正常である例がある, (2)症例への注意深い観察により初めて嚥下機能評価の提案が可能となり, 看護師, 医師, 言語聴覚士, 患者家族らによるチームアプローチが成功した1例であった. |
---|---|
ISSN: | 1343-8441 |