II-6-9 食物形態による誤嚥の危険性についての検討
【目的】パンやクッキーは, 健常例においても口腔内が乾燥している場合には咽頭に付着するなどして呑み込みにくくなることがある. またこれら食品は食塊形成が難しい場合が多く, 一般的に嚥下障害例には適さない食物形態であるとされている. そこで, 嚥下食として適した食品とされるゼリーや粥の嚥下状態と比較し, これら食品がどのような嚥下障害を呈するかビデオ嚥下造影検査(VF)を用いて検討した. 【対象】ゼリーと粥の嚥下で何らかの口腔相あるいは咽頭相障害を認めた10例(平均年齢69歳, 男性8例, 女性2例)を対象とした. 【方法】1. 検査模擬食品(バリウムを使用):(1)ゼリーと粥, (2)蒸しパン...
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Veröffentlicht in: | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2005, Vol.9 (3), p.390-390 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】パンやクッキーは, 健常例においても口腔内が乾燥している場合には咽頭に付着するなどして呑み込みにくくなることがある. またこれら食品は食塊形成が難しい場合が多く, 一般的に嚥下障害例には適さない食物形態であるとされている. そこで, 嚥下食として適した食品とされるゼリーや粥の嚥下状態と比較し, これら食品がどのような嚥下障害を呈するかビデオ嚥下造影検査(VF)を用いて検討した. 【対象】ゼリーと粥の嚥下で何らかの口腔相あるいは咽頭相障害を認めた10例(平均年齢69歳, 男性8例, 女性2例)を対象とした. 【方法】1. 検査模擬食品(バリウムを使用):(1)ゼリーと粥, (2)蒸しパンまたはクッキー(金谷らによるレシピに準拠して作成)を用いた. 各症例でそれぞれの食品での摂食姿勢は同一とした. 2. 検討項目:(1)口腔相(口腔内残留, 咽頭への送り込み), (2)咽頭相(咽頭通過, 喉頭蓋谷での貯留, 梨状窩での貯留)におけるVF所見を比較検討した. 【結果】パンまたはクッキーの嚥下では, (1)食塊形成が難しく, 咀嚼に時間を要す, (2)口腔内で食塊がばらばらになり付着しやすくなる, (3)食塊形成は困難で, 徐々に咽頭に食物が流入する, (4)食塊は口腔から咽頭で一塊となる, (5)喉頭蓋谷, 梨状窩での残留が増加する, (6)食塊が咽頭内をふさぎやすくなる, (7)複数回の空嚥下が必要であるという特徴を認めた. また, 口腔相と咽頭相の嚥下状態が悪化したものは口腔相で60%, 咽頭相は90%にものぼり, 咽頭相でより増悪することが示された. 【結語】1. 嚥下障害例においてパンやクッキーはゼリーや粥などの食品に比べ, 口腔相, 咽頭相ともに嚥下障害は増悪し, 嚥下には適さない食品であることを確認した. 2. これら食品では口腔相障害よりも咽頭相障害の方が顕著であり窒息や誤嚥の危険性が高く, 嚥下には十分な注意が必要である. |
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ISSN: | 1343-8441 |