II-2-2 MRIを用いた頚部回旋における梨状窩拡張の定量的検討

【目的】我々は前回, 頚部を回旋させると, 舌根部, 回旋方向と対側の拡張した梨状窩, 食道入口部がほぼ直線状に並び, 食塊が速やかに移動しうることが, 横向き嚥下により咽頭での食塊残留が減少する一つの要因であることを報告した. 前回の報告では, 健常成人が最大限に頚部回旋を行った状態で, 口腔, 咽頭, 喉頭の形態学的な変化について, MRI画像を用いて検討した. 今回, 頚部回旋角度と, 梨状窩拡張の程度との関係について定量的な検討を試みた. 【対象と方法】健常成人8例(男性4例, 女性4例, 平均年齢28.5才)を対象とした. 仰臥位で頚部を左右それぞれ20度, 40度, 60度に回旋さ...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2005, Vol.9 (3), p.366-366
Hauptverfasser: 板垣博之, 清水隆雄, 藤岡誠二, 野々村弘子, 大槻久美子, 下澤香織, 畑裕香, 近藤元治
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】我々は前回, 頚部を回旋させると, 舌根部, 回旋方向と対側の拡張した梨状窩, 食道入口部がほぼ直線状に並び, 食塊が速やかに移動しうることが, 横向き嚥下により咽頭での食塊残留が減少する一つの要因であることを報告した. 前回の報告では, 健常成人が最大限に頚部回旋を行った状態で, 口腔, 咽頭, 喉頭の形態学的な変化について, MRI画像を用いて検討した. 今回, 頚部回旋角度と, 梨状窩拡張の程度との関係について定量的な検討を試みた. 【対象と方法】健常成人8例(男性4例, 女性4例, 平均年齢28.5才)を対象とした. 仰臥位で頚部を左右それぞれ20度, 40度, 60度に回旋させた姿勢で頚部の軸位像を撮像し, 正面を向いた状態と比較して頚部回旋後の梨状窩の断面積の拡張倍率を算出した. MRI装置には0.3Tesla AIRIS II(日立メディコ)を使用し, 面積測定にはImage Jを用いた. 【結果】頚部回旋方向と対側の梨状窩の拡張にはある程度個人差がみられたが, 20度といった軽度の頚部回旋でも約1.6倍に拡張し, 頚部回旋角度を40度, 60度と大きくするに従って, 梨状窩の拡張も約2.3倍, 約2.7倍と大きくなることが確認できた. また, 明らかな左右差は確認できなかった. 【結語】今回の結果から, 軽度の頚部回旋においても, ある程度の梨状窩拡張が期待できることが示唆された. このことより, 頚部筋拘縮等が原因で, 頚部を十分に回旋できない患者の場合も, 横向き嚥下を行う意義があると考えられた. 今後, 横向き嚥下時における頚部回旋角度と, 咽頭での食塊残留減少との関係についても, 嚥下造影検査等を用いて検討していく必要がある.
ISSN:1343-8441