I-P5-15 嚥下障害患者に対しての栄養士の役割(第2報)~患者が本当に食べたい物

【目的】当院の嚥下食がスタートしてから6年目に入った. 「安全で飲み込みやすい食事」の提供に重点をおいて続けてきたが, はたして患者は食事についてどう思っているのか, 本当に食べたい物は何かを調査, 検討する. 【対象, 方法】リハビリテーション科を受診している嚥下障害患者68名(平均年齢68.5歳. 脳卒中47例, 神経変性疾患10例, その他11例)及び当院に在職している健常者68名を対象に以下についてアンケート調査を実施した. (1)今一番食べたい物は何か(2)あなたにとって「食事」とは何か(3)食事への期待は何か. 【結果】(1)嚥下患者:寿司7件, ステーキ6件, 刺身5件, 果実4...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2005, Vol.9 (3), p.358-358
Hauptverfasser: 大下聡子, 笠井史人
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】当院の嚥下食がスタートしてから6年目に入った. 「安全で飲み込みやすい食事」の提供に重点をおいて続けてきたが, はたして患者は食事についてどう思っているのか, 本当に食べたい物は何かを調査, 検討する. 【対象, 方法】リハビリテーション科を受診している嚥下障害患者68名(平均年齢68.5歳. 脳卒中47例, 神経変性疾患10例, その他11例)及び当院に在職している健常者68名を対象に以下についてアンケート調査を実施した. (1)今一番食べたい物は何か(2)あなたにとって「食事」とは何か(3)食事への期待は何か. 【結果】(1)嚥下患者:寿司7件, ステーキ6件, 刺身5件, 果実4件 職員:寿司10件, ステーキ8件, ケーキ7件, 果実6件 (2)嚥下患者:楽しみ47%, エネルギー摂取25%, リハビリ12% 職員:楽しみ85%, エネルギー摂取15% (3)嚥下患者:味32%, 食べやすさ29% 職員:味35%, 食べやすさ6%. 【考察】嚥下患者にとって『一番食べたい物』は, 普段禁じられている, 食べづらい食べ物を予想したが, 実際は誰もが好きな寿司やステーキであった. 『食事とは何か』については「楽しみ」以外に「エネルギー摂取」「リハビリ」と答える人も多かった. 『食事への期待』は「味」だけでなく「食べやすさ」が重要であった. 患者の本心は「おいしく(好物), 食べやすい嚥下食」が理想であることがわかった. しかし現状は, とろみのかかった, 食べるのに疲れる, マンネリした食事である. 今後の栄養士の役割は, 誰もが食べたいと思う料理を食べやすく提供し, 「安全性」ばかりを重要視するのではなく, 患者自身の「食」への原点に立ち戻り, 嚥下食を再考していく必要があると思われた.
ISSN:1343-8441