I-P1-12 先行期が影響し,嚥下回復困難な一例

摂食嚥下障害は咽頭喉頭の機能障害だけでなく, 意識障害や認知障害によっても引き起こされる. 今回我々は順調な回復経過を認めていたが, 精神機能低下の出現により摂食, 嚥下アプローチが難渋した症例を経験したので報告する. 【症例】58歳女性. 2004年6月28日発症. 脳出血により嚥下障害, 四肢麻痺, 全身耐久性低下, 呼吸不全を来たし急性期治療を受け, 8月5日当院転入院8月26日よりST開始. 意識レベルII-10~20. 両側顔面神経麻痺により, 自発的な口形の動きはなく開口以外は困難であった. VE所見は特に問題を認めなかったが, 嚥下反射は消失~遅延しており, 喉頭挙上不全を認め,...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2005, Vol.9 (3), p.328-329
Hauptverfasser: 高岡文, 爲季周平, 片田真紀, 森良美, 太田千明, 山中崇
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:摂食嚥下障害は咽頭喉頭の機能障害だけでなく, 意識障害や認知障害によっても引き起こされる. 今回我々は順調な回復経過を認めていたが, 精神機能低下の出現により摂食, 嚥下アプローチが難渋した症例を経験したので報告する. 【症例】58歳女性. 2004年6月28日発症. 脳出血により嚥下障害, 四肢麻痺, 全身耐久性低下, 呼吸不全を来たし急性期治療を受け, 8月5日当院転入院8月26日よりST開始. 意識レベルII-10~20. 両側顔面神経麻痺により, 自発的な口形の動きはなく開口以外は困難であった. VE所見は特に問題を認めなかったが, 嚥下反射は消失~遅延しており, 喉頭挙上不全を認め, RSSTは0回/30秒であった. 栄養管理は持続的NE法. 【経過】2004年8月31日間接的嚥下訓練開始し, 9月21日より直接的嚥下訓練を開始した. 意識レベルはI-1~2と向上しゼリー摂取が可能となったが, 精神機能低下や抑鬱傾向の出現により摂食に対する意欲が低下した. その結果, 嚥下機能に変化を認めないものの摂取量は減少し, 摂食時間は延長した. 栄養管理は間欠的NE法. 【考察】本症例は球麻痺症状を呈し, 重度嚥下障害を有していた. 咽頭喉頭機能は比較的良好であり, 一時的に経口摂取可能となったが, 障害や将来, 家族に対する遠慮などの心的不安から抑鬱傾向となり自発性が低下した. その結果, 精神機能の低下をもたらし著明な摂食嚥下機能の改善に至らなかった.
ISSN:1343-8441