頸椎介達牽引器を用いた開口力測定: 舌癌術後の開口運動

【目的】開口運動の評価法としてDaniels and Worthingham's muscle testing(DMT)の「Jaw Opening」は臨床上簡便である.しかしながらDMTの評価は主観的であり,FとWFの区別は難しい.これに対して我々は簡便かつ客観的に開口運動を評価するために,DMTにおける徒手的な抵抗動作を頸椎介達牽引器におこなわせ,閉口方向への抵抗に対して最大開口位を保持する力(最大開口力)の定量化に有用であることを健常成人で確認した.口腔癌の手術例において,開口筋が切除されることも少なくないが,術前・術後の最大開口力を定量的に評価した報告はない.今回,我々は舌癌術...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2005/08/31, Vol.9(2), pp.228-233
Hauptverfasser: 小山, 祐司, 石田, 暉, 酒泉, 和夫, 鷹嘴, 裕, 小野木, 英美, 豊倉, 穣
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】開口運動の評価法としてDaniels and Worthingham's muscle testing(DMT)の「Jaw Opening」は臨床上簡便である.しかしながらDMTの評価は主観的であり,FとWFの区別は難しい.これに対して我々は簡便かつ客観的に開口運動を評価するために,DMTにおける徒手的な抵抗動作を頸椎介達牽引器におこなわせ,閉口方向への抵抗に対して最大開口位を保持する力(最大開口力)の定量化に有用であることを健常成人で確認した.口腔癌の手術例において,開口筋が切除されることも少なくないが,術前・術後の最大開口力を定量的に評価した報告はない.今回,我々は舌癌術前・術後に頸椎介達牽引器を用いた開口力測定法の臨床応用を試みた.【対象と方法】対象は舌癌根治治療目的に入院した6名 (平均62歳).術式は舌可動部半側切除と舌骨上筋群の一側切除術 (4名),舌可動部亜全摘出と舌骨上筋群の広範切除術 (2名) である.評価は術前1回,術後1回の計2回とした.〈最大開口力測定〉被検者を座らせ,頭頸部は中立位とした.検者は被検者の頭部が動かないよう片手で抑え,被検者に最大開口位を保持させた.頸椎介達牽引器の頭囲ベルトを被検者の下顎のみにかけ,体幹軸に対してほぼ垂直方向に牽引して最大値(kg)を確認した.〈最大開口量測定〉被験者に最大開口させ,ノギスで上下顎前歯間の直線距離(㎜)を測定した.【結果および考察】最大開口力平均値(平均±標準誤差)は術前18.7±2.0kg,術後16.7±1.3kgで有意な低下はなかった.最大開口量平均値(平均±標準誤差)は術前49.5±2.4mm,術後34.8±2.8mmと有意な低下を認めた.すなわち舌骨上筋群が切除され,舌骨下筋群が温存された舌癌術後の開口運動は,術前と比較して最大開口量の低下があっても最大開口力は保たれていた.最大開口力に関しては,舌骨上筋群よりも舌骨下筋群が重要である可能性が示唆された.
ISSN:1343-8441
2434-2254
DOI:10.32136/jsdr.9.2_228