II-P6-8 重度の食道入口部開大不全を呈した口腔・咽頭癌術後患者に対するバルーン拡張訓練の効果

【目的】重度の食道入口部開大不全にはバルーン拡張法が有効であるとされているが, 腫瘍術後患者に対する訓練効果の報告は少ない. 今回, 重度の食道入口部開大不全を呈した口腔咽頭腫瘍術後患者に対しバルーン拡張法を用い, 良好な結果を得たのでここに報告する. 【対象】71歳男性. 左舌下顎中咽頭癌術後. 初診時の栄養摂敢は経鼻経管栄養. 【方法】初診時の嚥下機能および経時的訓練効果はVideo fluorography(以後VF)によって確認し, 直接訓練の可否や栄養摂取方法などを随時決定した. 訓練は経口的に尿道用バルーンカテーテル(KAIBAオールシリコンフォーリーカテーテル14Fr)を挿入させ...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2004, Vol.8 (2), p.289-289
Hauptverfasser: 大内ゆかり, 戸原 玄, 中根綾子, 後藤志乃, 寺中 智, 千葉由美, 大庭優香, 山脇正永, 植松 宏
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】重度の食道入口部開大不全にはバルーン拡張法が有効であるとされているが, 腫瘍術後患者に対する訓練効果の報告は少ない. 今回, 重度の食道入口部開大不全を呈した口腔咽頭腫瘍術後患者に対しバルーン拡張法を用い, 良好な結果を得たのでここに報告する. 【対象】71歳男性. 左舌下顎中咽頭癌術後. 初診時の栄養摂敢は経鼻経管栄養. 【方法】初診時の嚥下機能および経時的訓練効果はVideo fluorography(以後VF)によって確認し, 直接訓練の可否や栄養摂取方法などを随時決定した. 訓練は経口的に尿道用バルーンカテーテル(KAIBAオールシリコンフォーリーカテーテル14Fr)を挿入させ, バルーンを膨らましてから引き抜かせる方法を用いた. 【結果】初診時に栄養摂取および訓練方法を決定するためにVFを行ったところ, 重度の食道入口部開大不全を認め, 経口での栄養摂取は不可能と判断された. また, バルーンカテーテルを口腔より挿入させてバリウムを流したところ逆流が見られなかったため, 栄養摂取方法はバルーンカテーテルを用いた間欠的経口経管栄養とした. 訓練はバルーン拡張を中心とした間接訓練とし, 3週間後のVFで食道入口部の開大が確認され直接訓練開始し, 更に5週間後直接訓練の経過が良好であるため経口よりミキサー食摂取となった. 【考察】重度の食道入口部開大不全を呈した口腔, 咽頭期癌術後患者に対するバルーン拡張訓練で効果が見られた. バルーン拡張法による機械的な輪状咽頭筋の弛緩が得られたこと, 更にバルーンカテーテルの抜去に同期し嚥下を行ったことにより, 嚥下のタイミングを習得できたことで, 良好な結果を得たと考えられた. また, VFによる評価を行いながら安全に直接訓練を開始したことにより, さらに食道入口部の開大不全が解消され結果的にミキサー食の摂取が可能となった. 今後も今回の結果をもとに臨床に活用していきたい.
ISSN:1343-8441