II-P6-4 舌突出を伴う開咬症例に対し嚥下補助床を応用した一例

【目的】脳性麻痺には, 筋の異常緊張があり, 口腔機能において乳児様嚥下や逆嚥下などの異常嚥下が多く認められる. この際, 舌は口唇を越えて前方に突出され, 開咬などの影響を及ぼすことがある. このように開咬を呈する場合, 舌の陥凹形成不良や口腔内の陰圧形成が弱くなる傾向を認めることがあり, これにより, さらに嚥下機能改善に時間を要する. 今回, 著しい開咬と舌突出を認める脳性麻痺の症例に対し, 嚥下補助床を応用した装置を装着したところ, 嚥下機能獲得に良好な効果が得られたので報告する. 【症例】初診時年齢は10歳8ヶ月の女児. 主な障害は脳性麻痺+精神発達遅滞+てんかんである. 主訴は「食...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2004, Vol.8 (2), p.287-287
Hauptverfasser: 遠藤眞美, 野本たかと, 林佐智代, 妻鹿純一
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】脳性麻痺には, 筋の異常緊張があり, 口腔機能において乳児様嚥下や逆嚥下などの異常嚥下が多く認められる. この際, 舌は口唇を越えて前方に突出され, 開咬などの影響を及ぼすことがある. このように開咬を呈する場合, 舌の陥凹形成不良や口腔内の陰圧形成が弱くなる傾向を認めることがあり, これにより, さらに嚥下機能改善に時間を要する. 今回, 著しい開咬と舌突出を認める脳性麻痺の症例に対し, 嚥下補助床を応用した装置を装着したところ, 嚥下機能獲得に良好な効果が得られたので報告する. 【症例】初診時年齢は10歳8ヶ月の女児. 主な障害は脳性麻痺+精神発達遅滞+てんかんである. 主訴は「食形態をあげたい」であった. 初診時の機能評価は上唇の過敏, 乳児様嚥下, 舌突出, 口唇閉鎖不全, 多量の流挺であった. 口腔内所見は, 狭窄歯列弓および開咬が認められた. 【経過】初診時に上唇の脱感作, 顎介助下の嚥下訓練, 舌訓練の指導を行った. 指導開始1年経過した後でも, 嚥下機能に著明な改善は認められなかった. そこで, 開咬部に対する小児義歯を応用した装置を装着したが, 歯の交換期などの問題から維持が困難となり, 初診から1年11ヶ月後, マウスガード用ハードプレートを用いて本装置を装着した. その後, 舌突出が減少し, 装置がなくても, 舌尖部を切歯乳頭付近にとめようとする様子がみられ始め, 時々, 舌の上下運動で嚥下するようになった. 同時に口唇閉鎖の動きもみられるようになり流挺も減少した. 【考察および結論】機能訓練のみでは, 充分な指導効果が得られなかった著しい開咬と舌突出を認める症例に対し, 嚥下補助床を応用した装置の装着を行うことによって, 嚥下機能の発達が良好に促された. 開咬などの歯列不正がある場合, 通常の指導のみでは摂食機能の改善に時間を要す場合がある. 本症例のように嚥下補助床装着が可能であれば, 早期に機能の発達を促せることが推察された.
ISSN:1343-8441