II-2-11 遷延性意識障害患者における摂食・嚥下機能の検討

【目的】脊髄後索電気刺激(DCS)治療を実施した遷延性意識障害患者の意識程度と摂食, 嚥下機能の状態および変化を調査し, 摂食, 嚥下障害への介入の有用性について検討し報告した. 【対象一方法】対象は平成15年4月から16年1月までにDCS目的で入院し, 摂食, 嚥下リハビリテーションを実施した12例. 一般情報 摂食, 嚥下機能 訓練内容等について後方視的に調査した. 【結果】年齢は平均41.3歳, 発症からの平均経過期間313日(104~1015日), 訓練期間平均71日. 初診時摂食状況は全例経管栄養であった. 原因疾患は外傷性脳損傷7例, 低酸素脳症2例, 脳血管障害2例, 脳腫瘍術後...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2004, Vol.8 (2), p.253-253
Hauptverfasser: 飯泉智子, 岡田澄子, 重田律子, 寺尾幸子, 伊藤理絵, 馬場 尊, 才藤栄一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】脊髄後索電気刺激(DCS)治療を実施した遷延性意識障害患者の意識程度と摂食, 嚥下機能の状態および変化を調査し, 摂食, 嚥下障害への介入の有用性について検討し報告した. 【対象一方法】対象は平成15年4月から16年1月までにDCS目的で入院し, 摂食, 嚥下リハビリテーションを実施した12例. 一般情報 摂食, 嚥下機能 訓練内容等について後方視的に調査した. 【結果】年齢は平均41.3歳, 発症からの平均経過期間313日(104~1015日), 訓練期間平均71日. 初診時摂食状況は全例経管栄養であった. 原因疾患は外傷性脳損傷7例, 低酸素脳症2例, 脳血管障害2例, 脳腫瘍術後1例であった. 初診時の意識程度(太田ら, 1975年)は完全植物症(CVS)9例, 不完全植物症(IVS)2例, 移行型植物症(TVS)1例, 植物症脱却0例であった. 摂食, 嚥下障害の病態では口腔内停留7例(58%), 誤嚥8例(67%)を認め, うち7例(86%)はsilent aspirationであった. 間接訓練は全例, 直接訓練は7例に実施され, 訓練頻度は週2回, 各40分であった. 終了時所見にて意識程度の変化を認めたものは5例(42%), 変化を認めなかったものは7例(58%)であった. 意識程度改善群のうち, 口周囲運動に変化を認めたものは5例(42%), 臨床的摂食, 嚥下障害重症度分類(DSS)の改善を認めたものは1例(8%)であった. 一方, 意識程度不変群においても, 2例(16%)に口周囲運動の変化を, 1例にDSSの改善を認めた. 【考察】摂食, 嚥下障害の病態では口腔内停留, 誤嚥を認めた. 誤嚥例の86%はsilent aspirationであった. これらは臨床的観察では確認が難しくVFによる評価の重要性が示唆された. 意識程度に変化がなく口周囲の運動に変化を認めた症例があったことから, DCS治療の効果と独立した訓練効果があると考えられた.
ISSN:1343-8441