I-P4-3 PAP装着により嚥下と構音に改善がみられたケース

【目的】先天性脳疾患や脳血管障害による重度の嚥下, 構音障害に対して, 従来は機能訓練以外に有効な治療方法がなかった. 施設間連絡を通して歯科医師との連携が取れ, 歯科補綴的アプローチに踏み込むことができた. 舌接触補助床(PAP)装着により, 嚥下と構音に著しい改善が見られた症例を経験したので報告する. 【対象と方法】9歳男児. 右前頭葉裂脳症. 痙直型左片麻痺. 嚥下障害. 運動障害性, 器質性構音障害. 言語学習年齢10歳5ヶ月. PAP選択の理由は, 器質, 機能的因子と社会的因子. 前者は, 硬口蓋の上方偏位, 舌の著しい可動域制限, 口腔内感覚異常, 可動域訓練の限界, 言語学習年...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2004, Vol.8 (2), p.226-226
Hauptverfasser: 大橋志奈, 大澤朋史, 千葉祐香, 佐藤奈未, 竹田純子, 木下憲治, 藤田浩孝, 大川原舞, 筒井美奈子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】先天性脳疾患や脳血管障害による重度の嚥下, 構音障害に対して, 従来は機能訓練以外に有効な治療方法がなかった. 施設間連絡を通して歯科医師との連携が取れ, 歯科補綴的アプローチに踏み込むことができた. 舌接触補助床(PAP)装着により, 嚥下と構音に著しい改善が見られた症例を経験したので報告する. 【対象と方法】9歳男児. 右前頭葉裂脳症. 痙直型左片麻痺. 嚥下障害. 運動障害性, 器質性構音障害. 言語学習年齢10歳5ヶ月. PAP選択の理由は, 器質, 機能的因子と社会的因子. 前者は, 硬口蓋の上方偏位, 舌の著しい可動域制限, 口腔内感覚異常, 可動域訓練の限界, 言語学習年齢に問題なし. 後者は, 周囲が患児の話しことばに慣れている. 【経過と結果】舌機能改善を目指しパラタルブレート(以下PP)も作成. 作成前は, 口唇, 舌の可動域訓練, 口腔内異常過敏への脱感作療法. しかし, 舌は前後, 上下運動のみ. 発話明瞭度は5「全くわからない」. ト-キングエイド必要. 作成後は, PPを一定時間装着し舌機能の改善を促進, PAP装着し直接訓練, 構音訓練. その結果, 舌の3次元的運動出現. 発話明瞭度は3「内容を知っていればわかる」まで改善. トーキングエイド不要. 嚥下造影検査にて明白な相違も確認. PAPなしでは, 食塊が口蓋中央部~後縁にかけ停滞し, 口腔内~咽頭への送り込み動作が不十分. 舌が口蓋に接触不十分なため, スムーズな送り込みができなかった. PAPありでは, 食塊が停滞せず, 舌がプレート(口蓋部相当)に接触し, スムーズな送り込みが出現した. 【結語】PAPによるリハビリテーションでは, 口腔および咽頭の機能と咀嚼, 嚥下, 構音に関する専門的評価が必要. 補綴物治療に熟練した歯科医師との連携が成功に繋がった. PAP, PPを装着し, 舌の可動域制限や運動性の低下を代償, 賦活化することによって, 口腔相の改善が得られた.
ISSN:1343-8441