I-P1-15 精神疾患患者の摂食嚥下機能について

【目的】精神疾患患者の摂食, 嚥下状態を検討し, 嚥下障害によるQOLの低下を防ぐ取り組みにつなげる. 【方法】慢性期病棟において調査を実施した. 対象は, 協力の得られた男性16例(平均年齢60歳)女性14例(平均年齢59歳)で, その精神疾患の内訳は統合失調症23例, その他7例であった. 調査項目は以下のとおり. 基礎的情報:罹病期間, 合併症, 使用薬剤. 口腔器官の状態:噛み合せ, 不随意運動, 咽頭反射. 摂食嚥下機能:RSST, 食行動異常, 食事所要時間, 食形態. 発声発語機能:自発話明瞭度, 声量, 発声持続時間. 身体機能:FIM移動. 【結果】(1)既往:肺炎11例,...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2004, Vol.8 (2), p.212-212
Hauptverfasser: 野島啓子, 植村順一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】精神疾患患者の摂食, 嚥下状態を検討し, 嚥下障害によるQOLの低下を防ぐ取り組みにつなげる. 【方法】慢性期病棟において調査を実施した. 対象は, 協力の得られた男性16例(平均年齢60歳)女性14例(平均年齢59歳)で, その精神疾患の内訳は統合失調症23例, その他7例であった. 調査項目は以下のとおり. 基礎的情報:罹病期間, 合併症, 使用薬剤. 口腔器官の状態:噛み合せ, 不随意運動, 咽頭反射. 摂食嚥下機能:RSST, 食行動異常, 食事所要時間, 食形態. 発声発語機能:自発話明瞭度, 声量, 発声持続時間. 身体機能:FIM移動. 【結果】(1)既往:肺炎11例, イレウス10例, そのうち7例で両方の既往. (2)使用薬剤:下剤連用26例, うち18例多剤服用. 抗精神病薬26例服用, うち18例多剤服用. (3)噛み合せ:可能歯列状態15例, そのうち咀嚼していたのは4例のみ. (4)口腔器官不随意運動:不随意運動有15例, 不随意運動の有無と年齢との関連無し. (5)咽頭反射:検査を実施できた25例中17例で低下, 反射の有無と年齢や罹病期間との関連無し. (6)RSST:25例中11例で2回以下. (7)食行動異常:咀嚼不十分21例, 一口量過多12例, かきこみ食べ7例, 異常無7例. (8)発声発語機能:自発話明瞭度低下12例, 声量低下例12例. (9)身体機能:独歩可能17例, 移動介助必要9例. 【まとめ】精神疾患患者は, 消化管運動低下(結果(1)(2)), 口腔器官不随意運動((4)), 咽頭反射低下((5)), 食行動の異常((3)(7)), 発声発語機能低下((8)), 運動機能低下((9))といった摂食, 嚥下障害の要因を多数抱えていた. 消化管運動低下, 不随意運動, 咽頭反射低下は向精神薬の副作用との関連が, 発声発語, 運動機能低下は薬剤の副作用や廃用との関連が, 食行動異常は精神症状や認知障害との関連が類推される. 今後さらに検討し嚥下障害の予防につなげたい.
ISSN:1343-8441