2.「噛む機能の回復から食介護への取り組み」
介護保険制度が開始され4年が経過したが, 訪問栄養食事指導への要請は少なく, むしろ減少傾向にある. その原因は介護職の口腔への知識不足やマンパワー不足によると思われるが, 直接の原因は歯科医師の介護への認識不足の結果である. 介護には食事, 入浴(清潔), 排泄の3本柱がある. 今まで歯科医師は「噛む機能の回復」を目的としてきたが, 介護に参画するには, 目的を食事介護である「食べる機能の回復」へと転換し, 「噛むこと」は手段として取り組んでいかなければならない. いわき食介護研究会は訪問歯科診療のあり方を研修する目的で, 平成9年に歯科医師3名, 歯科衛生士2名で研修を始めたが, 食事介護...
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Veröffentlicht in: | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2004, Vol.8 (2), p.196-196 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 介護保険制度が開始され4年が経過したが, 訪問栄養食事指導への要請は少なく, むしろ減少傾向にある. その原因は介護職の口腔への知識不足やマンパワー不足によると思われるが, 直接の原因は歯科医師の介護への認識不足の結果である. 介護には食事, 入浴(清潔), 排泄の3本柱がある. 今まで歯科医師は「噛む機能の回復」を目的としてきたが, 介護に参画するには, 目的を食事介護である「食べる機能の回復」へと転換し, 「噛むこと」は手段として取り組んでいかなければならない. いわき食介護研究会は訪問歯科診療のあり方を研修する目的で, 平成9年に歯科医師3名, 歯科衛生士2名で研修を始めたが, 食事介護の重要性を認識し, 研修の取り組みを生活の基盤である「食」の問題をテーマに組み立てた結果, 発足当初20名であった会員数が1年で163名へと急増した. 「食介護」の主旨を「食材の見直しから摂食嚥下までの一連の食動作を, 医学的見地から支援し, 食文化, 食習慣なども含めた要介護者の食環境を包括的に理解, 把握し, 一生口からおいしく食べるための介護」と位置づけし, 口腔ケア, 摂食嚥下障害の重要性も然ることながら, 要介護者の食の環境にも重点を置く研究会とした. 現在, 会員は271名(栄養士23名)で7年目を迎え, 活動内容は月1回の研修および症例検討会(現在まで72回開催), ホームページの活用(e-taberu. com), 各職種間の情報交換, 親睦会を行っている. その他, 食アセスメント表, 食前体操ビデオ, 食介護マニュアルの製作や市民に向けての食介護フォーラム, いわき食介護学会および介護食コンテストなどを開催している. また研修会では五感の活性化のための研修も取り入れており, メディカルアロマセラピーや, 音楽療法, インテリアデザイナーによる食卓の照明方法, フランス料理シェフによる料理の盛り付け方法なども行っている. 最近では寝たきりにならないための介護予防を, 転倒骨折, 閉じこもり, 気道感染予防に限らず, 成人の生活習慣病の原因である食育まで広げ, 小中学校への食教育活動をはじめとして, ライフステージに合わせた, 「食」の研修を取り入れている. 今後, 我々は口腔キュア(治療)はもとより, 口腔ケア, 摂食, 嚥下リハビリテーションを念頭に置き, 口腔機能の責任職種として幅広い「食の分野」での介護, すなわち「食介護」で他職種と連携し食事摂取困難者の食環境を支援していかなければならない. |
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ISSN: | 1343-8441 |