II-P4-4 口腔ケアが口腔期へ及ぼす効果

【はじめに】神経疾患患者は, 口, 舌の運動機能低下に伴い口腔内の自浄作用が減り, 歯肉の退化, 乾燥が起こりやすく口腔内のケアを行うことは, 大切なことである. 当病棟でも, 口腔ケアを実施しているが, 患者が実施すると, ムセが多くなったり, 食事時間が延長することが多い. しかし, 看護師が口腔ケアを実施した場合は, 口腔残渣物は少なく, スムーズに食事摂取ができることを多く経験する. そこで, 口腔ケアが摂取嚥下運動の口腔期へ及ぼす効果について研究を進めたので報告する. 【研究目的, 方法】1. 研究目的:口腔ケアが摂食嚥下運動の口腔期へ及ぼす効果について明らかにする. 2. 期間:平...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2003, Vol.7 (2), p.254-255
Hauptverfasser: 中村昌代, 松山ゆりえ, 山崎明子, 竹村美由紀, 井上裕美子, 野崎園子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【はじめに】神経疾患患者は, 口, 舌の運動機能低下に伴い口腔内の自浄作用が減り, 歯肉の退化, 乾燥が起こりやすく口腔内のケアを行うことは, 大切なことである. 当病棟でも, 口腔ケアを実施しているが, 患者が実施すると, ムセが多くなったり, 食事時間が延長することが多い. しかし, 看護師が口腔ケアを実施した場合は, 口腔残渣物は少なく, スムーズに食事摂取ができることを多く経験する. そこで, 口腔ケアが摂取嚥下運動の口腔期へ及ぼす効果について研究を進めたので報告する. 【研究目的, 方法】1. 研究目的:口腔ケアが摂食嚥下運動の口腔期へ及ぼす効果について明らかにする. 2. 期間:平成15年4月~8月 3. 対象患者:ALS患者5名(A~E氏), パーキンソン病患者5名(F~J氏). 4. 1)口腔ケアの定義:咀嚼筋, 口腔周囲筋, 舌への刺激とする. 2)口腔ケアの方法:バス法(歯ブラシの毛先を歯軸に対して, 45度に当て, 歯肉の溝内に入れ, 横磨きで, 刺激を与える口腔ケア)による歯磨き3分間と舌ブラッシング1分間昼食前に看護師が実施した. 5. 判定方法:口腔ケア実施前と実施後3週目まで, ASMT(旭式発話メカニズム検査)の中の構音機能5項目(全開口, 口唇を引く, 口唇の突出, 舌の突出, 舌の移動)と咬合力を測定した. 【結果】今回は, 症例数が少ないため, 統計的には, 有意差は出なかった. 口腔ケア実施前後の値では, 個人差があるため, 各患者の実施前と実施3週目の値を比で表し, 上昇したのか結果を見た. 全患者の構音機能5項目と咬合力においては, すべて上昇を認めた. さらに, 疾患ごとにみると, 両者に違いがあった. まず, ALS患者では, 看護師が口腔ケアを実施することで, 構音機能5項目すべての数値が上昇し, 咬合力では明らかに, 上昇を認めた. 一方, パーキンソン病患者は, 構音機能5項目のうち, 2項目の低下が見られ, また, 数値は, 上昇したり低下したりと日々数値の変化が見られた. 患者の反応としては, 口腔ケアを実施することで, 「口が動かしやすくなった. 」「飲み込みやすくなった. 」などの反応が聞かれた. 【考察】口腔ケアによる, 口腔機能を掌る口輪筋や頬筋にマッサージや刺激を与えたことで, 口唇や舌, 頬などの筋の緊張を緩和されたと考えられる. 前の口腔ケアの刺激により, 覚醒作用を促し, 口腔機能が活性化されたと考えられる. 咬合力が高まったことは, 口腔ケア時の開口により, 口輪筋や頬筋の訓練となったことと, 測定自体が影響したと考えられる. ALS患者は, 進行に伴う筋力低下や経管栄養に移行することで, 嚥下する機会が少なくなり, 口腔機能の口唇, 舌, 頬の運動低下が起こると考える. また, 口腔ケア自体が開口や筋力低下や運動の制限の予防につながったと考えられる. 一方, パーキンソン病患者のデーターの変動は, wearing, off現象や薬物効果によるものと考える. 【結語】十分な口腔ケアができない神経疾患患者の場合, 食前に口腔ケアを行なうことは, 筋の緊張の緩和や覚醒作用の活性化につながり, 口腔期の嚥下機能を維持する効果が得られたと考える. 【参考文献】1)藤島一郎ら:n-Book4嚥下リハビリテーションと口腔ケア, メジカルフレンド社, 2001 2)荘村多加志:口腔ケアQ&A口から始まるクオリティ, オブ, ライフ, 中央法規出版, 1997 3)隅田好美ら:筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の口腔ケアの現状, 日本在宅ケア学会誌Vol. 5 No. 3 4)柴田浩美:摂取の基本とリハビリテーションブラッシング, 医歯薬出版株式会社, 1996
ISSN:1343-8441