在宅重症心身障害児に対する摂食指導短期入院の実際
【目的】重症心身障害児(以下, 重症児)の多くに摂食・嚥下機能低下が認められ, 誤嚥による呼吸器感染や窒息による突然死など, 様々な問題を抱えている. 当院では在宅重症児に対して摂食指導短期入院を行ってきた. 今回, 在宅重症児の摂食障害に関する問題点を明らかにするために, 当院で行ってきた摂食指導短期入院についてまとめた. 【対象】平成8年4月から平成11年3月までに摂食指導短期入院を行った14症例(12名). 【結果および考察】発達段階は経口摂取準備期2例, 嚥下機能獲得期5例, 捕食機能獲得期6例, 押し潰し機能獲得期1例であった. 食事中のむせは12例で認められた. アデノイドなど摂食...
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Format: | Tagungsbericht |
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Zusammenfassung: | 【目的】重症心身障害児(以下, 重症児)の多くに摂食・嚥下機能低下が認められ, 誤嚥による呼吸器感染や窒息による突然死など, 様々な問題を抱えている. 当院では在宅重症児に対して摂食指導短期入院を行ってきた. 今回, 在宅重症児の摂食障害に関する問題点を明らかにするために, 当院で行ってきた摂食指導短期入院についてまとめた. 【対象】平成8年4月から平成11年3月までに摂食指導短期入院を行った14症例(12名). 【結果および考察】発達段階は経口摂取準備期2例, 嚥下機能獲得期5例, 捕食機能獲得期6例, 押し潰し機能獲得期1例であった. 食事中のむせは12例で認められた. アデノイドなど摂食機能に及ぼすと思われる他の原因を探すために, 歯科や耳鼻科的な検索も大切である. 指導前の摂取カロリーや水分量は少ないものが多く, 児のもっている機能では難しい食形態のものを食べている例が多かった. これは摂食機能発達について保護者が情報を得る機会が少ないことに加えて, 重症児にかかわる医療関係者の勉強不足のために適切な指導がされていなかったことが原因と思われる. しかし, このために異常パターンが身についてしまったと考えられる症例もあり, 誤学習が摂食障害に大きく影響していると思われる. 重症児では姿勢保持困難な例が多いが, 摂食時の姿勢を指導することで食事時間の短縮や, むせの減少が認められた症例もあった. 嚥下造影検査では5例で誤嚥が認められた. 不顕性誤嚥の症例はなく, むせのある12例中7例では検査上の誤嚥を認めなかった. 嚥下造影検査は短時間で行うため, 食事中のむせが誤嚥のためであっても, 1回の検査で誤嚥が認められるとは限らない. また, 咽頭流入や梨状窩などへの食物残留がある場合には, 筋緊張や姿勢保持困難のために誤嚥がおこりうる可能性がある. 【結語】重症児における摂食機能障害について保護者に正しく理解してもらうためには, 保護者に対する教育の機会を増やすことが必要であると同時に, 発達を診ている医師への啓発も不可欠である. |
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ISSN: | 1343-8441 |