摂食・嚥下障害者における各種ゼリーの嚥下動態の解析

【目的】摂食・嚥下障害を有する患者に対し, ゼラチンや寒天を使ったゼリーが用いられている. 今回, 新たに両者の長所を合わせ持つ寒天含有ゲル化剤(以下SSG)を開発した. 本研究では予備的検討として, SSGゼリーを作製し, 軽度の摂食・嚥下障害者に対して使用し, その嚥下動態を観察してゼラチンと比較した. 【対象】藤田保健衛生大学七栗サナトリウムリハビリテーション科に入院中の患者で本研究への参加に書面による同意の得られた16例(男性10例, 女性6例. 平均年齢62.8±11.9歳)を対象とした. 【方法】ゼラチンあるいはSSGを用いて硬さの異なる2種類ずつ計4種類の硫酸バリウムを含有するゼ...

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Hauptverfasser: 馬場尊, 奥井美枝, 才藤栄一, 江頭文江, 宮下警一, 上坂英二
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】摂食・嚥下障害を有する患者に対し, ゼラチンや寒天を使ったゼリーが用いられている. 今回, 新たに両者の長所を合わせ持つ寒天含有ゲル化剤(以下SSG)を開発した. 本研究では予備的検討として, SSGゼリーを作製し, 軽度の摂食・嚥下障害者に対して使用し, その嚥下動態を観察してゼラチンと比較した. 【対象】藤田保健衛生大学七栗サナトリウムリハビリテーション科に入院中の患者で本研究への参加に書面による同意の得られた16例(男性10例, 女性6例. 平均年齢62.8±11.9歳)を対象とした. 【方法】ゼラチンあるいはSSGを用いて硬さの異なる2種類ずつ計4種類の硫酸バリウムを含有するゼリーを院内で作製した. 対象に各ゼリーを5ccずつ与え, 嚥下動態をビデオタイマー付きビデオ嚥下造影で側面像により観察, 記録した. これらの画像より, OP(Oral Processing Time), VAT(Vallecular Aggregation Time), PS(Pharyngeal Swallow Duration)を求め, 各ゼリー間の差を検討した. また, 残留所見および患者による食べ易さに関する評価についても検討を行った. 【結果】OPにおいてゲル化剤の影響による差を認め, SSGはゼラチンに比較して短くなった. VATにおいては両者に差を認めず, ゼリーのかたさによる差を認めた. PSについてはゲル化剤及びかたさの影響は見られなかった. なお, 各ゼリーともに誤嚥は認められなかった. また, 食べ易さに関する主観的評価及び残留所見はSSGとゼラチンとはほぼ同等であった. 【考察】OPは食塊形成性の指標であると考えられる. SSGのOPはゼラチンと比較して短い傾向を認めたことから, SSGはゼラチンよりも食塊形成に有利であると考えられた. また, 主観的評価, 残留所見及び誤嚥に関してはSSGとゼラチンはほぼ同等の結果であったことから, SSGはゼラチンと同等以上に嚥下障害食用ゲル化剤として有用であることが示唆された.
ISSN:1343-8441