摂食・嚥下障害に対するリハビリテーション入院の試み

【目的】歯科病院における摂食・嚥下リハビリテーション人院としての対応, それに付随する問題点と今後の課題について症例を通じて検討した. 【対象および方法】平成11年4月から9月までの6ヵ月間に新潟大学歯学部附属病院において17名の摂食・嚥下リハビリテーション入院を施行した. そのうち結果のでている脳梗塞発症6年経過した81歳男性と, 脳出血発症5ヵ月経過した71歳女性の2名について検討した. 前者は, 当院入院の6ヵ月前に嚥下性肺炎を起こし, 以来経鼻管栄養で施設と自宅とで管理されきた. 当院入院期間は14日であり, その間摂食機能訓練, 義歯修理, および口腔ケアを施行した. また全身的機能...

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Veröffentlicht in:日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 1999, Vol.3 (2), p.66-67
Hauptverfasser: 植田耕一郎, 紋谷光徳, 五十嵐敦子, 田澤貴弘, 野村修一, 永長周一郎, 藤谷順子, 岩崎貢士
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】歯科病院における摂食・嚥下リハビリテーション人院としての対応, それに付随する問題点と今後の課題について症例を通じて検討した. 【対象および方法】平成11年4月から9月までの6ヵ月間に新潟大学歯学部附属病院において17名の摂食・嚥下リハビリテーション入院を施行した. そのうち結果のでている脳梗塞発症6年経過した81歳男性と, 脳出血発症5ヵ月経過した71歳女性の2名について検討した. 前者は, 当院入院の6ヵ月前に嚥下性肺炎を起こし, 以来経鼻管栄養で施設と自宅とで管理されきた. 当院入院期間は14日であり, その間摂食機能訓練, 義歯修理, および口腔ケアを施行した. また全身的機能レベルの維持に努める中で, 歩行訓練を中心にした理学療法的アプローチを行った. 後者は, 発症以来経管栄養で一般病院での入院管理をしてきたが, 当院入院直前にミキサー食摂取を開始した. 当院入院期間は21日であり, ほぼ前者同様の対応を行った. 【結果・考察】81歳男性の場合は, VF検査上は誤嚥はなく, 意識状態の改善も認められたので液状食およびゼラチンゼリーの経口摂取を試みた. 退院時は医科主治医に経口摂取が可能であること, エンシュアリキッドの減量と経口摂取の比重を高めることへの検討を進言した. 71歳女性の場合は, 全粥, 軟食摂取が可能となった. 口腔ケアの自立に向けては車椅子操作, 立ち上がり動作を取得したために, 介助者による口腔内の部分的なブラッシングは要するものの, ブラッシング行為そのものは監視下における自立となった. リハビリテーション専門病院とは異なり, コ・メディカルスタッフがそろっていない状況で, 全身状態の維持, 改善に向けての対応をどのようにしたらよいか, また緊急事態が発生したときに, 医科との連携をどのように確保したらよいかなどが問題点としてあげられた. また1回の食事に60分以上を要し, さらに口腔ケア, 理学療法的アプローチ, 歯科疾患治療を平行して行う中で, マンパワーの不足といったことへの課題を残した.
ISSN:1343-8441