誤嚥症例における代償姿勢としての顎引きの効果について
顎引き姿勢の誤嚥防止効果について, X線映画を用いて検討を行った. 対象は1994年から1998年の約4年間で, 嚥下障害を主訴として嚥下造影検査を行い誤嚥の認められた患者のうち, 顎引き姿勢を試みた患者41名(男性34名, 女性7名, 年齢は27歳~85歳で平均68.5歳)とした. 疾患の内訳は脳血管障害16名(外傷性1名を含む), 脳血管障害以外の神経疾患8名, 口腔咽頭腫瘍術後11名, 食道癌術後4名, その他2名であった. 嚥下動態はDSA装置DIGITEX 2400UX(島津社製)で側方撮影を行い35ミリフィルムに30コマ/秒で記録した. 造影剤は1回量2~5mlのオムニパーク又はイ...
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 顎引き姿勢の誤嚥防止効果について, X線映画を用いて検討を行った. 対象は1994年から1998年の約4年間で, 嚥下障害を主訴として嚥下造影検査を行い誤嚥の認められた患者のうち, 顎引き姿勢を試みた患者41名(男性34名, 女性7名, 年齢は27歳~85歳で平均68.5歳)とした. 疾患の内訳は脳血管障害16名(外傷性1名を含む), 脳血管障害以外の神経疾患8名, 口腔咽頭腫瘍術後11名, 食道癌術後4名, その他2名であった. 嚥下動態はDSA装置DIGITEX 2400UX(島津社製)で側方撮影を行い35ミリフィルムに30コマ/秒で記録した. 造影剤は1回量2~5mlのオムニパーク又はイオパミロンを用い, 直立坐位の習慣位と顎引きの2姿勢で嚥下を行った. 分析は35ミリ映画フィルムを用いて, 誤嚥の種類, 舌根の位置, 咽頭収縮, 嚥下反射遅延時間の変化, 舌切除の有無, 舌運動について習慣位と顎引き位で観察した. 誤嚥の改善が認められた症例は, 誤嚥の種類により分類すると, 喉頭挙上期型誤嚥で14/19例(74%), 喉頭下降期型誤嚥で4/14例, 混合期型誤嚥では3/8例(38%)であり, 喉頭挙上期型誤嚥で顎引きの効果が高いことが示唆された. 顎引き姿勢により誤嚥の消失した21例のうち, 嚥下反射遅延時間の短縮が16例, 舌根の後方移動が14例で, 11例に嚥下反射遅延時間の短縮あった. 一方で, 誤嚥が改善しなかった20例のうち, 8例に舌根の後方移動を認めた. 顎引き姿勢により誤嚥の消失の要因を, 嚥下反射遅延時間の短縮や, 舌根の後方移動のみで説明するのは困難であった. 手術による舌形態異常は11例に認め, 誤嚥の消失の成否は咽頭収縮の改善に関与しているように思われた. また, 舌形態に異常がなく, 舌不随意運動を示す患者の大半(8/10例)が改善を示したことより, この場合は顎引き姿勢の効果が望める可能性が高いと思われた. |
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ISSN: | 1343-8441 |