食物繊維量が脳卒中嚥下障害患者の排便に及ぼす影響

【はじめに】従来, 嚥下障害食は繊維成分の少ない食品で構成されてきた. しかし, 嚥下障害食を摂取している患者の多くは排便障害を高率に併発している. そこで, 繊維成分を食事中に増量し, 排便に及ぼす影響について検討を行った. 【対象・方法】対象は, 当院入院中の脳卒中嚥下障害患者, 女性2名男性1名の計3名. 3名ともADLはほぼ全介助であった. 調査期間中の, 食事摂取カロリー(1200kcal/day)・リハビリテーションでの運動量・投薬内容を一定とし, ベースライン期(繊維量8g), 繊維増量期(繊維量12g)第2ベースライン期(繊維量8g)を各3週間ずつ施行. 食事摂取量, 排便の回...

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Hauptverfasser: 千葉美香, 藤井幸子, 重田律子, 安元恵子, 元村久信, 西付美智子, 神内拡行, 古川俊明, 本永英治, 豊倉穣
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【はじめに】従来, 嚥下障害食は繊維成分の少ない食品で構成されてきた. しかし, 嚥下障害食を摂取している患者の多くは排便障害を高率に併発している. そこで, 繊維成分を食事中に増量し, 排便に及ぼす影響について検討を行った. 【対象・方法】対象は, 当院入院中の脳卒中嚥下障害患者, 女性2名男性1名の計3名. 3名ともADLはほぼ全介助であった. 調査期間中の, 食事摂取カロリー(1200kcal/day)・リハビリテーションでの運動量・投薬内容を一定とし, ベースライン期(繊維量8g), 繊維増量期(繊維量12g)第2ベースライン期(繊維量8g)を各3週間ずつ施行. 食事摂取量, 排便の回数・量・性状について調査, 比較検討を行った. 【結果・考察】3症例とも期間中食事はほぼ全量摂取し, 目標の繊維量は摂取できた. 便の性状は, ベースライン期には柔らかく形状が保たれていなかったが, 繊維増量期には全体的に性状が保たれた. 排便の回数・量に個人差はあるものの期間中の有意差は認められなかった. 一方, 便の量が増える効果も期待されたが, 大きな変化は見られなかった. 今回の対象者は活動性の乏しい患者であったが, 繊維増量に対する弊害は見られなかった. ADL能力が低い患者の便の性状が保たれることは, 臀部等の皮膚のビランなどのスキントラブルを防ぎ, 二次的な障害の予防に役立てられると思われる. 【まとめ】1. 嚥下障害食に含まれる食物繊維の変化が嚥下障害患, 者の排便に及ぼす影響について検討した. 2. 食物繊維の増量により, 便の性状が保たれる形に変化し, 食物繊維の有効性が示唆された. 3. 全身状態を考慮し, 個々に応じた適切な食物繊維量を今後も検討していく必要性がある.
ISSN:1343-8441