抗力を具備した骨盤前傾を促す継手付き体幹装具が高齢者の歩行に与える影響

【目的】抗力を具備した骨盤前傾を促す継手付き体幹装具が高齢者の歩行に与える影響を運動学,運動力学的分析からあきらかにすること。【方法】健常高齢男性27名を対象に,三次元動作分析装置,床反力計を使用し歩行時の運動学,運動力学的データを計測した。被験者は10m歩行路を,装具,抗力を具備した継手付き体幹装具装着(以下,装具装着),軟性コルセット装着(以下,コルセット)の3条件で自由速度にて歩行した。統計処理は各条件間における比較のために,一元配置分散分析反復測定法とBonferroni法による多重比較検定を実施した(有意水準5%)。【結果】装具と比較し,装具装着とコルセットで歩行速度が有意に増大した。装具装着では他の2群と比較して有意に骨盤前傾・体幹伸展し,さらに立脚初期における股関節外転モーメントが有意に増大した。【結語】装具装着が高齢者の骨盤後傾姿勢を改善し,歩行安定性に関与する立脚期の股関節外転モーメントが発揮しやすくなり,歩行速度が増大する結果が得られた。