連載第1回 理学療法診療記録の目的: 記録の法的根拠と意義について

「はじめに」平成23年3月11日, 東日本大震災の衝撃が日本中を駆け巡り, 追い討ちをかけるように翌日, 福島第一原発の水素爆発事故が起こりました. そんな中で東京電力や関係機関の事故への対応に関する情報の錯綜が, 未曾有の大災害の混乱に拍車をかけました. この情報錯綜の一因となる海水注入等に関するデータや記録の不備などが報道機関に取り上げられました. 現場の作業担当者には, 極限状態で“記録”を残す余裕などなかったのかも知れませんが, 国際的な信用が失墜したことは否めません. ところで, みなさんは「昨日の夕食はなにを食べましたか」という質問に対してすぐに返答することはできますか. 昨日のこ...

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Veröffentlicht in:理学療法学 2012/04/20, Vol.39(2), pp.130-134
Hauptverfasser: 藤田, 聡美, 石松, 元太郎, 高橋, 博愛, 辻, 義輝, 甲斐, 有希, 永家, 桂子, 吉村, 直人, 中村, 茜, 中村, 一平
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」平成23年3月11日, 東日本大震災の衝撃が日本中を駆け巡り, 追い討ちをかけるように翌日, 福島第一原発の水素爆発事故が起こりました. そんな中で東京電力や関係機関の事故への対応に関する情報の錯綜が, 未曾有の大災害の混乱に拍車をかけました. この情報錯綜の一因となる海水注入等に関するデータや記録の不備などが報道機関に取り上げられました. 現場の作業担当者には, 極限状態で“記録”を残す余裕などなかったのかも知れませんが, 国際的な信用が失墜したことは否めません. ところで, みなさんは「昨日の夕食はなにを食べましたか」という質問に対してすぐに返答することはできますか. 昨日のことは答えることができるかもしれませんが, 一昨日となるとどうでしょうか. 思い出すのに時間がかかることが少なからずあるのではないでしょうか. このように私たちの記憶は曖昧なものであり, まして, 一日に何人もの患者に理学療法を提供する私たち理学療法士は, 一人ひとりの治療内容を頭の中に記憶していくことは不可能です. 本稿では, 理学療法士の“記録”の法的根拠と意義・目的について考えてみたいと思います.
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.KJ00008046849