脳の可塑性と理学療法

「はじめに」 リハビリテーションは身体や脳の機能を回復・獲得させるための極めて有効な手段である. しかし, 脳科学が非常に発達した現代にあっても, 人間の運動や行動の仕組みが十分に理解されたわけでもなく, ましてやリハビリテーションのための論理だった手法が確立しているわけでもない. 動物の運動機能は脳―身体―環境の3者による適切な相互作用により司られる1). また, 脳の中では環境の変化に対応するために, 絶えず新しい神経回路が生成されている. 即ち, 常に可塑的な神経系の働きが誘発されているのである. そこで, 本解説では, “適応的な運動機能を実現するための神経系の働き”と“神経(脳の)可...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:理学療法学 2010/12/20, Vol.37(8), pp.575-582
1. Verfasser: 高草木, 薫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」 リハビリテーションは身体や脳の機能を回復・獲得させるための極めて有効な手段である. しかし, 脳科学が非常に発達した現代にあっても, 人間の運動や行動の仕組みが十分に理解されたわけでもなく, ましてやリハビリテーションのための論理だった手法が確立しているわけでもない. 動物の運動機能は脳―身体―環境の3者による適切な相互作用により司られる1). また, 脳の中では環境の変化に対応するために, 絶えず新しい神経回路が生成されている. 即ち, 常に可塑的な神経系の働きが誘発されているのである. そこで, 本解説では, “適応的な運動機能を実現するための神経系の働き”と“神経(脳の)可塑性”, そして, 神経可塑性に着目したリハビリテーションについて考察する. 「神経可塑性(Neuroplasticity)」 我々は絶えず新たな環境に遭遇しており, 脳の中では絶えず新しい神経回路網が形成され, 必要のなくなった神経回路の機能は失われていく.
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.KJ00006912749