健常成人における膝伸展反復回数測定の再現性および膝伸展力との関係について
膝伸展力は移乗動作能力や歩行能力などに影響を与える要因の1つであり, これまでにもトルクマシーンをはじめとして様々な機器を用いた客観的な測定方法が報告されている. しかしながらこれらの測定機器は概して高価であるため, 広く臨床に応用することが困難である. これに対し重錘を用いて筋力を測定する方法として, 1RMや10RMが古くから行なわれているが, 最大筋力値を決定するためには重錘の重さを変化させて数回行なう必要がある. また重錘の重さの変化により大腿後面に対する圧迫力が変化し, その結果完全伸展時の下肢の高さが一定しないため, 遂行可能の可否の判断に困難を要することが多い. そこで今回我々は...
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Veröffentlicht in: | 理学療法学 2004, Vol.31 (suppl-2.2), p.501-501 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 膝伸展力は移乗動作能力や歩行能力などに影響を与える要因の1つであり, これまでにもトルクマシーンをはじめとして様々な機器を用いた客観的な測定方法が報告されている. しかしながらこれらの測定機器は概して高価であるため, 広く臨床に応用することが困難である. これに対し重錘を用いて筋力を測定する方法として, 1RMや10RMが古くから行なわれているが, 最大筋力値を決定するためには重錘の重さを変化させて数回行なう必要がある. また重錘の重さの変化により大腿後面に対する圧迫力が変化し, その結果完全伸展時の下肢の高さが一定しないため, 遂行可能の可否の判断に困難を要することが多い. そこで今回我々は, 重錘の重さを一定にした状態での膝伸展反復回数を測定し, 測定の再現性および膝伸展力との関連について検討した. 参加に同意を得た健常成人43名(男性18名, 女性25名), 平均年齢23.2歳, 平均身長164.2cm, 平均体重57.8kgである. 膝伸展反復回数測定は, 重錘を下腿遠位部に装着した状態で膝伸展の最大の高さを決定した後, 3秒伸展, 2秒休止を1セットとし, 20回を上限として可能な限り反復するように求めた. 遂行不可の判断は, 目標の高さに届かなくなった場合, またはリズムに合わせて伸展できなくなった場合とした. 重錘の負荷量は体重の10%, 15%, 20%の3種類とし, 測定の順序はランダムとした. 測定下肢は左右いずれか一方をランダムに選択した. 測定の再現性は同一検者により1週間以内に再測定し, 級内相関係数(ICC)を用いて検討した. 膝伸展力測定はアニマ杜製筋力測定器μTasMF-01を用いて測定した. 測定方法は先の報告に従い, 下腿下垂位にて膝90度屈曲位での等尺性筋力を測定した. 測定は1分間の休憩を挟み2回施行し, 最大値を測定値とした. 膝伸展反復回数と膝伸展力との関連については反復回数により3群(0~10回をA群, 11~19回をB群, 20回をC群)に分類した後, 一元配置の分析を用いて検討した. 級内相関係数は, 10%負荷r=0.76, 15%負荷r=0.75, 20%負荷r=0.61であった. 反復回数の平均値は10%, 15%, 20%の順に19. 7回, 18. 4回, 15. 0回であり, 10%負荷では殆どの者が20回施行可能であった. そこで15%, 20%負荷での反復回数と膝伸展力との関係を見ると, 15%負荷ではA群56. 9%/BW, B群56. 4%/BW, C群57. 6%/BW, 20%負荷ではA群56.3%/BW, B群55.5%/BW, C群59.4%/BWとC群の筋力がやや高かったが有意差は見られなかった. 以上の結果より膝伸展反復回数測定は, 測定方法が簡便な割には信頼性が比較的高かった. また本研究の対象のように筋力水準の高い者では膝伸展力と反復回数との関連は見られなかったが, 筋力水準の低下している者に対しての臨床応用の可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0289-3770 |