変形性膝関節症に対する疫学的検討-性別悪化因子の縦断的な検討

変形性膝関節症(膝OA)に対する疫学調査で, 女性で明らかな膝OAの加齢, 性差, 肥満, アライメント, 筋力など, 悪化因子について男性の縦断的検討を報告する. 新潟県松代町の膝検診は1979年を初回とし, 以降7年ごと(1986年, 1993年, 2000年)に計4回実施された. 検診内容は医師の問診, 視触診, 身体計測, 股膝関節可動域, 体脂肪率等の測定および立位膝前後X線撮影を実施した. 4回目の検診では, 膝伸展筋力測定をアルケア社製QH-302で行った. X線の膝OA病期評価は, Kellgrenの分類を参考にして5段階とした. 今回の検討では4回の検診を全て受診した男性で初...

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Veröffentlicht in:理学療法学 2004, Vol.31 (suppl-2.2), p.413-413
Hauptverfasser: 蕪木武史, 渡辺博史, 粟生田博子, 藤塚治美, 浜辺政晴, 古賀良生, 大森豪, 遠藤和男, 田中正栄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:変形性膝関節症(膝OA)に対する疫学調査で, 女性で明らかな膝OAの加齢, 性差, 肥満, アライメント, 筋力など, 悪化因子について男性の縦断的検討を報告する. 新潟県松代町の膝検診は1979年を初回とし, 以降7年ごと(1986年, 1993年, 2000年)に計4回実施された. 検診内容は医師の問診, 視触診, 身体計測, 股膝関節可動域, 体脂肪率等の測定および立位膝前後X線撮影を実施した. 4回目の検診では, 膝伸展筋力測定をアルケア社製QH-302で行った. X線の膝OA病期評価は, Kellgrenの分類を参考にして5段階とした. 今回の検討では4回の検診を全て受診した男性で初回検診時X線の膝OA病期評価でgradeが0, 1であった50名(初回平均年齢:52,6±5.9歳)を対象とし, 右膝について検討した. 対象を4回目のgradeが0, 1のまま変化しなかった不変群とgradeが2以上に変化した悪化群の2群に分け, body mass index(BMI), 膝外側角(FTA), 膝伸展筋力(筋力値:体重を除した値)について検討した. また対照として女性355名(初回平均年齢49.3±5,5歳)に対する同様の検討を比較した, 統計学処理はt検定, およびX2検定を用いて5%有意水準とした. 膝OAの悪化率は, 男性で46%であり, 女性では60%であった. 男性のBMIは不変群は22.2±2.1%から21,6±3.1%, 悪化群は22.1±2.1%から21.6±3.0%で, 筋力値は不変群0.38±0,13kg/m2, 悪化群0,38±0.08kg/m2で, ともに両群間で有意な差を認めなかった. FTAにおいて不変群は174.3±1.8℃から174.9±2℃, 悪化群は174.4±2.4℃から176.5±2.9℃であり, 悪化群に有意な差を認めた. 一方, 女性においては不変群に比べ悪化群がBMI, FTAともに有意に増加し, 筋力値では高かった. 我が国において膝OAは内反膝を伴う一次性が多く, 女性に多いことから, 男性についての検討は少なく, 縦断的な報告はない. 女性における膝OAの発症悪化因子について加齢, 内反変形, 肥満, 筋力が関連する. 今回, 男性に対する膝OAの悪化因子として, 加齢, 内反変形のみ関連性を認め, 肥満, 筋力において関連性は認められなかった. 男性の膝OAの悪化率が女性より有意に低い要因が, 肥満, 筋力の性差が影響していることが示唆され, これと女性の身体的特徴である関節動揺性などとの関連についての検討が必要と考えている.
ISSN:0289-3770