トレッドミル歩行の速度・勾配変化に伴う下肢筋活動の変化
脳卒中やパーキンソン病などの中枢疾患患者や, THAなどの整形外科疾患患者などの歩行を評価する際に, 筋電図を用いて, 健常者の歩行と比較検討することが多い. しかし, 多くの場合, 患者と健常者では最適な歩行速度は異なっており, 単純に比較することには疑問がもたれる. 本研究では, 歩行速度だけでなく, 勾配を変化させたときのトレッドミル歩行時の筋活動も明確にし, 基礎データの充実を図ることを目的とした. 対象は健常成人5名(年齢22~31歳)とした. 方法は, 被験者にトレッドミル歩行をさせ, 右踵接地をトリガーに, 同側ヒラメ筋, 前脛骨筋, 内側腓腹筋, 外側腓腹筋, 大腿二頭筋, 大...
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Veröffentlicht in: | 理学療法学 2004, Vol.31 (suppl-2.2), p.366-366 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 脳卒中やパーキンソン病などの中枢疾患患者や, THAなどの整形外科疾患患者などの歩行を評価する際に, 筋電図を用いて, 健常者の歩行と比較検討することが多い. しかし, 多くの場合, 患者と健常者では最適な歩行速度は異なっており, 単純に比較することには疑問がもたれる. 本研究では, 歩行速度だけでなく, 勾配を変化させたときのトレッドミル歩行時の筋活動も明確にし, 基礎データの充実を図ることを目的とした. 対象は健常成人5名(年齢22~31歳)とした. 方法は, 被験者にトレッドミル歩行をさせ, 右踵接地をトリガーに, 同側ヒラメ筋, 前脛骨筋, 内側腓腹筋, 外側腓腹筋, 大腿二頭筋, 大腿直筋, 内側広筋, 外側広筋の50歩行周期分の表面筋電図を記録した. また, 踵接地と爪先離地も記録した. 測定は, 速度を時速1.5kmから7.0kmまで0.5kmずつ増加させた12条件と, 時速40kmで, 勾配を0%から10%まで1.0%ずつ増加させた11条件で行った. 得られた表面筋電図は整流し, 1歩行周期を100%に換算後, 50歩行周期分の加算平均を行った. また, 各条件での各筋の総活動量および立脚期と遊脚期の割合を算出した. 速度増加時には, 前脛骨筋の一歩行周期に占める筋活動時間の割合は僅かに延長し, 他の筋では僅かに短縮していた. 勾配変化時には大きな変化は認められなかった. また, 立脚期と遊脚期の割合は, 速度変化時に若干の立脚期の短縮を認めたが, 勾配変化時には大きな変化は認められなかった. しかし, 筋活動パターンはいずれの条件でも変化は認められなかった. 速度変化時の各筋の総筋活動量は, 速度の増加に比例して増加する傾向が認められ, 勾配変化時にも, 勾配の増加に比例して増加する傾向が認められた. しかし, その増加率は速度増加時に比べて非常に小さかった. 速度や勾配が変化しても, 立脚期と遊脚期の割合は僅かな変化しかなく, 筋活動パターンに変化が認められなかったのは, 歩行と走行では利得が変化するという報告などを考慮すると, 歩行という範囲内であれば, 同一の運動パターン制御が行われている為ではないかと考えられた. 総筋活動量の増加率が, 勾配変化時よりも速度変化時の方が大きかったのは, 速度変化時には推進力や各関節角速度の加減速に, 筋活動の変化が大きく関与しているためだと考えられた. |
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ISSN: | 0289-3770 |