当院におけるくも膜下出血急性期リハビリテーションの治療成績
くも膜下出血(以下SAH)は発症後の脳血管撃縮による脳虚血状態や水頭症予防を含む全身状態管理を優先することから安静が余儀なくされ, 臥床期間が長期化する傾向にある. また当院における過去の調査でSAHは他の脳卒中例に比べ在院期間が延長する傾向にあることから, 我々は脳血管撃縮期からの十分なリスク管理に基づく早期起立着席訓練を実施した. この取り組みの前後の治療成績を比較検討した. 2001年4月から2002年3月までにSAHで当院に入退院し術後理学療法(以下PT)を施行した25例(以下対照群)と2002年4月から2003年7月までに脳血管攣縮期から早期起立着席訓練を実施した26例(以下早期起立...
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Veröffentlicht in: | 理学療法学 2004, Vol.31 (suppl-2.2), p.348-348 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | くも膜下出血(以下SAH)は発症後の脳血管撃縮による脳虚血状態や水頭症予防を含む全身状態管理を優先することから安静が余儀なくされ, 臥床期間が長期化する傾向にある. また当院における過去の調査でSAHは他の脳卒中例に比べ在院期間が延長する傾向にあることから, 我々は脳血管撃縮期からの十分なリスク管理に基づく早期起立着席訓練を実施した. この取り組みの前後の治療成績を比較検討した. 2001年4月から2002年3月までにSAHで当院に入退院し術後理学療法(以下PT)を施行した25例(以下対照群)と2002年4月から2003年7月までに脳血管攣縮期から早期起立着席訓練を実施した26例(以下早期起立群)を対象とした(死亡例除外). 調査項目は年齢, SAH重症度分類(H&Kgrade), 動脈瘤部位, 入院時意識レベル(GCS), PT介入時期, 起立着席訓練開始時期, PT総実施回数, PT実施頻度(週当たり実施回数), 平均在院日数, 自宅復帰率, 歩行獲得率, 歩行獲得日数, 入院前PT開始時退院時における各Modified Ranking Scale(m-RS), 合併症の発生率. 各項目を診療録から後方視的に調査し2群間を比較した. 対象者の年齢, H&Kgrade, 動脈瘤の部位, 入院時意識レベル, 入院前円開始時のm-RSについては2群間に有意差は認めなかった. PTの取り組みとしてPT介入時期は対照群12日/早期起立群7日(以下同順), 起立着席訓練開始22日/10. 3日で早期起立群において有意に早かった. また1週当りPT実施頻度は4. 6回/54回で早期起立群が有意に高かったが, PT総実施回数に差はなかった. 転帰および歩行獲得状況に関して, 平均在院日数84.4日/52.9日, 歩行獲得日数549日/37.2日で早期起立群において有意な短縮が認められた. 更にPT介入時期, 起立着席訓練開始時期, PT実施頻度の3項目が在院日数, 歩行獲得日数に与える影響について重回帰分析を用いて検証した結果, 早期からの起立着席訓練の開始がその主要因子として挙げられた. なお自宅復帰率68%/69.2%, 歩行獲得率84%/70.4%, 退院時m-RS2.6/2.5には2群間に統計上有意差は認められなかった. 合併症の発生は, 肺炎が8例/2例で早期起立群で発生頻度が低い傾向にあった. なお対象群におけるPT開始後の脳梗塞, 深部静脈血栓症例は各1例であったが, 早期起立群には認めなかった. 早期起立群で在院日数, 歩行獲得日数が有意に短縮した. これらに影響を与える因子として, 早期からの起立着席訓練が挙げられた. これは脳血管撃縮期からの起立着席訓練の実施により早期離床が可能となり, 廃用性症候群が予防されたためと推察される. また2群間で入院期間中のPT総実施回数に差はなかったもののPT実施頻度は早期起立群で高かったことから, 早期歩行獲得, 退院へ導くためには急性期に高頻度のPTが必要である点も示唆された. |
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ISSN: | 0289-3770 |