間質性肺炎増悪とサイトメガロウイルス感染を合併し長期臥床となった一症例の検討

WHOにおけるGOLDガイドライン, 本邦での呼吸リハビリテーション(PR)マニュアルの作成などPRの有用性が確立されてきているが, 間質性肺炎(IP)に対するPRに関しては未だ意見の分かれるところであり, 特に特発性間質性肺炎(IIP)やIP急性増悪時においては積極的なPR介入には否定的な意見も多い. 今回, IIP増悪とサイトメガロウイルス感染を契機に長期臥床となった一症例を経験したので報告する. 66歳男性, 診断名はIIP. 在宅酸素療法(HOT)導入は1999年8月, 2001年よりADL向上維持を目的にPRをPTOTが介入している. #1. IIPによるSteroid長期内服中であ...

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Veröffentlicht in:理学療法学 2004, Vol.31 (suppl-2.2), p.303-303
Hauptverfasser: 瀬崎学, 仲山美奈子, 小海菊江, 上原数之, 阿方裕, 鈴木和夫, 太田求磨, 吉嶺文俊
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:WHOにおけるGOLDガイドライン, 本邦での呼吸リハビリテーション(PR)マニュアルの作成などPRの有用性が確立されてきているが, 間質性肺炎(IP)に対するPRに関しては未だ意見の分かれるところであり, 特に特発性間質性肺炎(IIP)やIP急性増悪時においては積極的なPR介入には否定的な意見も多い. 今回, IIP増悪とサイトメガロウイルス感染を契機に長期臥床となった一症例を経験したので報告する. 66歳男性, 診断名はIIP. 在宅酸素療法(HOT)導入は1999年8月, 2001年よりADL向上維持を目的にPRをPTOTが介入している. #1. IIPによるSteroid長期内服中であり, 開始時50mg/dayとほぼ極量から2002年5月10日の段階で27. 5mg/dayまで減量している. #2. CResF on HOTスパイロメータVC:1. 73L, FEV1. 0:1. 37L, 血液ガスpH:7. 449, PaCO2:35. 7torr, PaO2:62. 3torr. #3. steroid性DM朝10単位(即効性insulin, 10-0-0)実施. #4. osteoporosisに対してalfacalcidol内服中. 2002年10月3日呼吸困難感悪化などの症状のため, 六日町病院内科に入院. 10月15日の検査の結果サイトメガロウイルス(CMV)陽性となり, ganciclovir250mg×2/dayと治療を開始していたが, 眼科より右眼底のCMV neuropathyの指摘, 肺X-P上でもCMV感染が疑われたため10月28日精査治療目的に同県内のN病院に転院. その後CMVに対する治療が落ち着き失明の可能性も低くなったとの見地から2003年1月31日六日町病院内科へ転院, PRも開始となる. 症例は2002年10月より臥床を強いられてきたためPR開始時両下肢筋力低下(poorレベル), ベッド上動作要介助, 立位保持不可などADLレベルの低下が著明であった. PR実施上の留意点は1. 疲労を絶対に生じさせない範囲内での運動量の設定, 2. Steroid量の変化時(特に増量時)にはベッドサイドでの軽い運動(ROMやactive-assistiveでの運動)程度とする, 3. 運動時酸素投与5L/m下でSpO2下限値85%程度とし過度の低酸素血症を防止, などが挙げられた. その後全身状態の改善とPRの進行により歩行器併用にて10~20m程度独歩可能, ベッド上動作自立レベルまで改善が見られ2003年6月2日自宅退院となった. 従来の報告のように, COPDを対象とするような中等度~高負荷でのPRプログラムをIPに実施するとPRの効果を発揮できないばかりか運動自体がリスクとなる可能性も高い. 今回は一症例の検討ではあるが, このようなIP重症例に対しても疾患に悪影響を及ぼさない程度の負荷の設定にて, ADLを重視するようなプログラムの実施が有効であることも考えられた.
ISSN:0289-3770