307 義肢装具を理学療法士が製作することの意義について
理学療法において義肢装具の利用は, 必要かつ有力な治療手段のひとつであり, 当院においても治療用として処方されることが多い. この治療用義肢装具は, できる限り早期から治療目的に使用し, 症例の病態に応じて調節することが可能で, しかも短時間で完成するといった特徴を備えたものが望ましい. そこで, 治療用義肢装具という観点から, 理学療法士が制作することの意義について, 当院における事例を通じて検討したので報告する. 症例1は, 57歳, 男性. 閉塞性動脈塞栓症により両側下腿切断. 症例2は, 20歳, 男性. 交通事故により左大腿切断, 右下腿骨折. 症例3は, 57歳, 男性. 糖尿病性...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 理学療法学 2004, Vol.31 (suppl-2.1), p.154-154 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 理学療法において義肢装具の利用は, 必要かつ有力な治療手段のひとつであり, 当院においても治療用として処方されることが多い. この治療用義肢装具は, できる限り早期から治療目的に使用し, 症例の病態に応じて調節することが可能で, しかも短時間で完成するといった特徴を備えたものが望ましい. そこで, 治療用義肢装具という観点から, 理学療法士が制作することの意義について, 当院における事例を通じて検討したので報告する. 症例1は, 57歳, 男性. 閉塞性動脈塞栓症により両側下腿切断. 症例2は, 20歳, 男性. 交通事故により左大腿切断, 右下腿骨折. 症例3は, 57歳, 男性. 糖尿病性壊疽にて左サイム切断. 症例1は, 断端縫合部創形成のため, 熱可塑性樹脂にて縫合部を開放したPTBソケットを製作. これにより創完全治癒前から荷重訓練が可能となり, 創完全治癒の時点で熱可塑性樹脂の利点を活かし, 使用していたソケットをTSBタイプに修正した. その後, ADL自立となり退院となった. 症例2は, 左大腿切断に対して, 熱可塑性樹脂にて吸着式四辺形ソケット, 右下腿骨折に対して熱可塑性樹脂にてFunctional braceを製作. これにより早期より荷重歩行訓練が可能となり, ADL自立にて早期退院が可能となった. 症例3は, 劫断後屋外歩行自立していたが, 断端末に創形成しサイム義足装着不可となる. 創部遷延性治癒であったため, 熱可塑性樹脂にてPTB装具を製作. 車椅子レベルではなく, 創部へのストレスが加わらない免荷状態での歩行ADL訓練が可能となったことで, ADL自立となり退院となった. その後, 外来通院で断端末の循環動態も改善され創治癒となり, 元のサイム義足装着可能となった. 治療用義肢装具の製作を, 技術や製作時間または製品の安全性などの責任問題があるとして理学療法士が積極的に行わない施設もある. しかし, 治療期間に制限のある現医療の中で, 理学療法士が症例の病態に応じて義肢装具を製作し, 運動療法との組み合わせにより, 治療効果を早くに引き出せるならばその意義は大きい. 当院では熱可塑性樹脂を活用し, 症例の病態に応じて治療用義肢装具を理学療法士が, 比較的簡単に短時間で製作し, 短期間で最大限の治療効果をあげようと取り組んでいる. その経験の中で, 問題のない症例では勿論のこと, 特に難治性の症例に対して, 熱可塑性樹脂を用いて創意工夫しながら義肢装具を製作し, 運動療法を併用することで, 結果的には短期間に著明な能力向上を得ることが多かった. 理学療法士は, 義肢装具を症例に合わすのではなく症例の病態に義肢装具を合わせていくという姿勢が必要であり, 症例の機能能力を最大限に活かし, どのような時でも回復代償する方法を追求することが重要であると考える. |
---|---|
ISSN: | 0289-3770 |