119 当院におけるTHA患者の年代別に見た歩行自立までの期間についての考察

当院では全人工股関節置換術(以下THA)に対してクリニカルパスを導入し, 患者に情報提供を行うことで術前から術後のスムーズなリハビリテーションを実現した. THAのリハビリテーションは主に筋力強化と歩行訓練であり, 患者の歩行能力との関わりが非常に大きい. 今回は, 退院可能時期を決定する条件で最も重要とされる歩行自立の時期を調べることで得られた年齢との関係や, 発生したバリアンスに対する考察を行ったので報告する. 対象は, 平成11年から14年の4年間に当院でTHAが実施された患者のうち, 調査可能であった31症例(男性3名, 女性28名, 平均年齢58.6歳)とした. 方法は, 対象患者の...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:理学療法学 2004, Vol.31 (suppl-2.1), p.60-60
Hauptverfasser: 藤田珠理, 柚木堅之亮, 山田隆介, 堀田芳彦, 土方浩美
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:当院では全人工股関節置換術(以下THA)に対してクリニカルパスを導入し, 患者に情報提供を行うことで術前から術後のスムーズなリハビリテーションを実現した. THAのリハビリテーションは主に筋力強化と歩行訓練であり, 患者の歩行能力との関わりが非常に大きい. 今回は, 退院可能時期を決定する条件で最も重要とされる歩行自立の時期を調べることで得られた年齢との関係や, 発生したバリアンスに対する考察を行ったので報告する. 対象は, 平成11年から14年の4年間に当院でTHAが実施された患者のうち, 調査可能であった31症例(男性3名, 女性28名, 平均年齢58.6歳)とした. 方法は, 対象患者の理学療法カルテより, 歩行自立までにかかった運動療法実施日数と全運動療法実施日数を調査しそれぞれの平均値と, 歩行自立日数を10~14日間, 15~19, 20~24, 25~29, 30日間以上に, 全運動療法実施日数を20~24日間, 25~29, 30~34, 35~39, 40~44, 45~49, 50~54, 55日間以上に分類し, それぞれの割合を算出した. 歩行自立日数の平均は20日間で, 日数別では10~14日では2例(6%), 15~19日は17例(54%), 20~24日は7例(22%), 25~29日は4例(12%), 30日以上は2例(6%)であった. 年代別で見ると40代, 50代では15~19日の間に自立した症例が多く, 60代では25~29日, 70代では20~24日の間で多かった. 全運動療法実施日数の平均は35. 8日間で, 日数別では20~24日は2例(7%), 25~29日は8例(26%), 30~34日は7例(23%), 35~39日は6例(16%), 40~44日は2例(7%), 45~49日は3例(10%), 50~54日は1例(4%), 55日以上は2例(7%)であった. 年代別に見ると, 40代, 50代は25~29日の間で退院となった症例が多く, 60代では35~39日, 70代では30~34日と40~45日間が同数で多かった. バリアンスが発生した例は2例であり, 既往に脳性麻痺があったため歩行自立が遅れた例と, 術後に硝子体出血を発症し2週間の安静を余儀なくされた例であった. 今回の結果から, 年齢が低い群では歩行自立や退院までの期間が短く, 高齢な群では長くなる傾向が見られた. これは加齢に伴う体力や学習能力の違いが現れたものと考えられた. また発生したバリアンスからは, 個人の術前能力は歩行自立に影響を与えることが示唆された. 以上のことから加齢は歩行自立や入院期間を延長させる原因となり, リハビリテーションでは高齢者や基礎疾患によりバリアンスが考えられる例に対して, 術前からの適切なアプローチが重要であると考えられた.
ISSN:0289-3770