105 等角速度運動における表面筋電図の離散Wavelet変換による解析

従来筋電図解析においては主に高速フーリエ変換(FFT)による解析が行われていた. これまでの研究により, 筋周波数解析を行ことで低周波数成分はtype1線維の筋活動を, 高周波数成分はtype2線維の筋活動を反映しているとされている. また, 筋活動ではサイズの原理が成り立つとされ, 運動強度の増加に伴いtype1線維, type2線維の順に動員されると報告されている. しかしFFTは解析される信号の定常性が求められるため, 等尺性収縮による研究が行われてきた. 近年Wavelet変換の導入により動的筋電図の周波数解析が可能となったが, Wavelet変換で用いられる周波数は通常用いられている...

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Veröffentlicht in:理学療法学 2004, Vol.31 (suppl-2.1), p.53-53
Hauptverfasser: 平田恭子, 永瀬慎介, 鶴崎俊哉
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:従来筋電図解析においては主に高速フーリエ変換(FFT)による解析が行われていた. これまでの研究により, 筋周波数解析を行ことで低周波数成分はtype1線維の筋活動を, 高周波数成分はtype2線維の筋活動を反映しているとされている. また, 筋活動ではサイズの原理が成り立つとされ, 運動強度の増加に伴いtype1線維, type2線維の順に動員されると報告されている. しかしFFTは解析される信号の定常性が求められるため, 等尺性収縮による研究が行われてきた. 近年Wavelet変換の導入により動的筋電図の周波数解析が可能となったが, Wavelet変換で用いられる周波数は通常用いられている周波数と異なっているという問題がある. 今回の研究ではサイズの原理の特性がWavelet変換により解析できるかについて, 膝関節の等角速度運動時における大腿四頭筋の表面筋電図を導出し, 検討した. 健常成人である11名(平均年齢22.±3.6歳, 男性5名女性6名)を対象とした. 対象とする筋を内側広筋, 大腿直筋, 外側広筋とし, それぞれの筋の筋腹近位部3分の1に双極電極を約2cm間隔で貼付した. このとき皮膚抵抗が110オーム以下となるよう十分に前処理を行った. その後Cybexを用いて角速度150degree/secにて最大筋力時の筋トルクを測定し, 画面上に筋トルクをリンクさせ視覚的に確認しながら最大筋トルク時の20%と100%でそれぞれ10回膝関節屈伸を行い, サンプリング周波数ikHzにて表面筋電図を導出した. また同様にして十分に休息後角速度60degree/secでも行い表面筋電図に導出した. そのデータより屈伸5回分を選択しMath Works社製数値解析ソフトウェアMATLAB Ver6. 5およびWaveletToolboxを用い, マザーウェーブレットをDaubechies5, 解析レベルを7として離散Wavelet変換による解析を行った. (1)角速度150degree/secの際では, 伸展開始からピークトルクまでは低周波数帯より筋活動が開始し徐々に高周波数帯が見られており, ピークトルク以降になると徐々に高周波数帯より活動が小さくなっていた. (2)角速度60degree/secの際では, 伸展開始からピークトルクまでは低周波数帯から高周波数帯までの立ち上がりのずれが(1)よりも小さく, ピークトルク以降になると徐々に高周波数帯より活動が小さくなっていた. 以上の結果より強い筋トルクを必要とする場合, 必要としない場合とも運動開始に関してサイズの原理に順じるような知見を得た. よって, Wavelet変換によって現れる周波数帯でも低周波数帯ではtype1線維の活動を, 高周波数帯ではtype2線維の活動を反映しているのではないかと考える.
ISSN:0289-3770