102 等速度の蹴り出し動作における下肢筋活動の特性-体幹の前傾角度の違いによる検討
我々はこれまでに等速度運動評価訓練装置(BIODEX MEDICAL社製BIODEX MULTI-JOINT SYSTEM3PRO;以下, BIODEX)を用いた下肢の蹴り出し(以下, push)動作と引き込み動作を分析し, 膝靱帯損傷患者に対する評価および運動療法への適応について検討してきた. 今回, push動作時における体幹の前傾角度の違いが下肢筋活動に及ぼす影響を明らかにするため, 筋活動電位を計測し, 若干の知見を得たので報告する. 下肢に既往のない健常男性8名(平均年齢23.9±4.2歳, 身長172.0±5.2cm, 体重67.0±6.1kg)を対象とした. push動作は等速度...
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Veröffentlicht in: | 理学療法学 2004, Vol.31 (suppl-2.1), p.51-51 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 我々はこれまでに等速度運動評価訓練装置(BIODEX MEDICAL社製BIODEX MULTI-JOINT SYSTEM3PRO;以下, BIODEX)を用いた下肢の蹴り出し(以下, push)動作と引き込み動作を分析し, 膝靱帯損傷患者に対する評価および運動療法への適応について検討してきた. 今回, push動作時における体幹の前傾角度の違いが下肢筋活動に及ぼす影響を明らかにするため, 筋活動電位を計測し, 若干の知見を得たので報告する. 下肢に既往のない健常男性8名(平均年齢23.9±4.2歳, 身長172.0±5.2cm, 体重67.0±6.1kg)を対象とした. push動作は等速度運動での下肢複合動作が可能なBIODEX CKCアタッチメントを用い, 体幹前傾10°(以下, 10°前傾位)と55°(以下, 55°前傾位)の2肢位で行った. 膝関節の運動範囲を0°-90°, 角速度は240°/secに設定してpush動作を10回繰り返し, 各動作における仕事量を測定した. 筋活動電位の測定は筋電計(NORAXON社製筋電計MyoSystem1200)を用い, サンプリング周波数1000Hzにて大殿筋(GM), 大腿直筋(RF), 内側広筋(VM), 大腿二頭筋(BF)および腓腹筋外側頭(GC)の5筋を導出した. 最大仕事量を発生した試行時の筋活動量(IEMG)を, 同一時間での各筋における最大等尺性随意収縮時のIEMGで正規化した%IEMGを算出し, 各筋活動量を比較した. 統計学的検定はpaired t testを用いて, 有意水準を5%未満として比較検討した. push動作時における各筋の%IEMGの平均は, 10°前傾位でGM74. 7±21. 2%, RF52. 8±20. 6%, VM95. 5±24. 1%, BF37. 5±9. 6%, GC90. 7±48. 5%であった. また55°前傾位では, GM99. 0±29. 6%, RF45. 8±14. 5%, VM102. 5±13. 1%, BF52. 5±21. 7%, GC82. 7±26. 9%であった. 体幹前傾角度による比較では, GMとBFの%IEMGは55°前傾位が有意に大きかった. 筋活動における膝伸筋と屈筋の拮抗筋比率(H/Q比)も10°前傾位(0. 87±0. 54)に比べ, 55°前傾位(1. 26±0. 61)が有意に大きかった. また体重で標準化したpush時の仕事量の比較では, 10°前傾位(1369. 7±393. 8%)よりも55°前傾位(1865. 8±413. 5%)が有意に大きかった. 体幹の前傾角度の増大は, 動作開始時に筋長が伸長位となるGMやBFの筋収縮力を増大させ, push動作における股関節伸展モーメントヘの依存度を高めると考えられた. またH/Q比も増大しており, 脛骨の後方引き出し力となるハムストリングの筋活動量が拮抗する大腿四頭筋に対して相対的に増大し, 膝関節の前方勇断力を減少する可能性があると考えられた. ゆえに体幹を前傾したpush動作は, ACL再建膝に対する下肢の筋力強化トレーニングとして有用であることが示唆された. 健常男性8名を対象に体幹の前傾角度がpush動作に及ぼす影響を調べた. 前傾角度の増大はGMやBFの筋活動量を増大し, H/Q比も高まることから, 膝関節の前方勇断力を減少する可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0289-3770 |