68 高齢障害者における操作機種別電動車いす操作特性の検討-Joy-stick型とScooter型の比較
高齢障害者が屋内で電動車いすを使用する場合, Joy-stick型(以下J型)のものが多く見られる. しかし, 操作で方向とスピードのコントロールを行うため微妙な調節が難しい操作機種であり, ケースによっては方向とスピードを分けて操作できるScooter型(以下S型)を使用した方が良いと考えられる場合も多い. しかし, 高齢障害者の電動車いす操作特性から処方基準を述べた報告は少ない. そこで今回, 高齢障害者の操作機種別電動車いす操作特性を明らかにするため, 高齢障害者を対象にJ型, S型電動車いすの走行操作性について比較検討したので報告する. 対象は, 本研究参加に同意した60歳以上の女性で...
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Veröffentlicht in: | 理学療法学 2004, Vol.31 (suppl-2.1), p.34-34 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 高齢障害者が屋内で電動車いすを使用する場合, Joy-stick型(以下J型)のものが多く見られる. しかし, 操作で方向とスピードのコントロールを行うため微妙な調節が難しい操作機種であり, ケースによっては方向とスピードを分けて操作できるScooter型(以下S型)を使用した方が良いと考えられる場合も多い. しかし, 高齢障害者の電動車いす操作特性から処方基準を述べた報告は少ない. そこで今回, 高齢障害者の操作機種別電動車いす操作特性を明らかにするため, 高齢障害者を対象にJ型, S型電動車いすの走行操作性について比較検討したので報告する. 対象は, 本研究参加に同意した60歳以上の女性で, 電動車いす操作未経験の8名, 平均年齢66. 8±13. 2歳, 脳梗塞2名, 脳出血2名, 急性硬膜下血腫1名, 頚髄損傷1名, 関節リュウマチ2名であった. 使用した電動車いすは, 4輪J型電動車いす(WACOGIKEN社製エミュー)と4輪S型電動車いす(SUZUKI社製ヤニアカーET-4A, 以下S型)であった. 走行コースは, 10.5mスラロームコース(以下10.5mコースと, 7mスラロームコース(以下7mコース)であった. 走行速度課題は上限速度2.0, 3.0, 3.0, 4.0km/hの3段階とし, 10.5mコースにおける上限走行速度2.0km/hでの走行課題から開始し, 3回の走行を行い, 1回でも成功すれば3.0, 4.0km/hと次の速度課題へ進めた. さらに7mコースヘと進め, 以後同様に走行を行った. 3回すべて失敗した時点で実験は終了とした. 各上限速度課題にて, 3回全て成功(), 3回中1~2回成功(), 3回全て失敗(×)の3群の人数分布から, 操作機種別電動車いすの操作性の比較を行った. また, 各走行課題成功時に完走時間を測定し, 各走行課題で比較を行った. 統計はX2検定を用い有意水準は5%とした. 走行課題結果の比較では, 10. 5mコースの2. 0km/hにおいて, J型:4名, 3名, ×1名, S型:6名, 1名, ×1名と, S型に有意に良好な操作性を認めた. 7mコースにおいてはS型もJ型と同等の操作性であり, 最終的な脱落者はS型2名, J型は3名と明らかな差はなかった. 以上の結果より, 高齢障害者へ電動車いすを処方する場合, 導入時においてはJ型よりもS型の電動車いすの方が優れていると考えられる. 走行課題別平均完走時間の比較では, 2.0, 3.0, 4.0kmm/hにおいて, 10.5mコースではJ型:44.8秒, 36.9秒, 33.0秒, S型:41.4秒, 32.8秒, 32.2秒. 7mコースではJ型:35.4秒, 34.4秒, 39.4秒, S型:36.9秒, 31.1秒, 30.6秒と, その全てにおいて操作機種間に有意差はなかった. このことからも, S型がJ型と同等の操作性であることが示唆された. |
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ISSN: | 0289-3770 |