当院回復期リハビリテーション病棟の現状と課題-(スタッフへのアンケート調査から)

【はじめに】当院では2001年12月より, 療養型病棟から回復期リハビリテーション病棟(以下, リハ病棟)へと転換し約一年が経過した. リハ病棟として機能している点もあるが, 問題点もあがってきた. そこでそれらを明確化し, 問題構造を把握する目的で病棟スタッフに対しアンケート調査を行った. 【対象と方法】病棟スタッフに対し無記名選択記述方式にてアンケートを行った. 有効回答は医師2名, 看護師14名, 介護職員10名, 理学療法士5名, 作業療法士1名, 計32名より得られた. 質問内容は「リハ病棟の目的を知っているか, 知っていればその内容」「リハ病棟となって良くなった点があるか, ある場...

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Veröffentlicht in:理学療法学 2003-04, Vol.30 (suppl-2), p.310-310
Hauptverfasser: 千葉寛之, 柿崎朱明, 栗原芽衣子, 高橋美和, 杉本尚久
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【はじめに】当院では2001年12月より, 療養型病棟から回復期リハビリテーション病棟(以下, リハ病棟)へと転換し約一年が経過した. リハ病棟として機能している点もあるが, 問題点もあがってきた. そこでそれらを明確化し, 問題構造を把握する目的で病棟スタッフに対しアンケート調査を行った. 【対象と方法】病棟スタッフに対し無記名選択記述方式にてアンケートを行った. 有効回答は医師2名, 看護師14名, 介護職員10名, 理学療法士5名, 作業療法士1名, 計32名より得られた. 質問内容は「リハ病棟の目的を知っているか, 知っていればその内容」「リハ病棟となって良くなった点があるか, ある場合その内容」「リハ病棟で問題と感じる点はあるか, ある場合その内容」とした. 【結果】リハ病棟の目的について知っているか「知っている66%」「どちらともいえない22%」「知らない3%」「未記入9%」であった. リハ病棟となって良くなった点はあるか「ある66%」「無い16%」「未記入19%」であった. リハ病棟に問題があるか「ある56%」「無い34%」「未記入9%」であった. リハ病棟の目的としては「在宅, 社会復帰へ向けてADL向上を図る」「病棟スタッフが一丸となってアプローチしていく」といったことが主であった. 良くなった点としては「病棟に活気が出て, 離床が進んだ」「ADLが向上し在宅に帰る人が増えた」ということが主であった. 問題点の内容としては「環境不整備」「情報共有化不足」「業務システム不備」「マンパワー不足」「不適応と思われる患者層」「認識, 知識, 技術の不足」「転倒増加」「ADL訓練不足」といったことが主であった. 【考察】アンケート結果よりリハ病棟の目的については比較的理解しており, リハ病棟となって良くなったと感じているスタッフも多いことがわかった. 一方で問題点も数多くあり, リハ病棟として十分に機能しているとはいえない現状も浮き彫りにされた. 問題点は多岐にわたり各々独立しているが, 同時にそれぞれが深く関連しあっていることが伺えた. 例えば痴呆患者が多い事で介助や処置に要する時間が増え, また十分な人員配置がなされていないことで慢性的なマンパワー不足に陥ってしまう. その結果情報交換が十分に行えていない. 日常的な家事動作を行うためのキッチンなどが病棟にない事で, ADL訓練が習慣化せず, ADL訓練の技術, 知識が向上しない. またその重要性もなかなか認識されていかない. そしてそのようなADL訓練を一日の業務の中に組み入れていくシステムもできてこない. このようにつながりが明らかになったことで漠然と, 数多く存在した問題点がまとまってきた. リハ病棟を十分に機能させていくために, 個々の問題に取り組む必要があるが, ひとつの問題を解決することで結果的には全体へ良い影響を及ぼすものと考えられる.
ISSN:0289-3770