TEG(東大式エゴグラム)による性格分析-入学時性格と年次成績との関連
【はじめに】理学療法士, 作業療法士の教育において, 専門的知識の習得のみでなく医療人としての人間性, 社会性という職業への適正も重要な因子である. 医療の臨床場面や教育現場での対人関係を円滑にする方法として, 交流分析が活用されている. エゴグラムは, 自我状態の機能分析をグラフ化したものであり, そのパターンより自分の性格特性や行動パターンの特徴を理解するものである. 新入生の入学初期にエゴグラムを実施し, 学年末の成績と留年及び中退に関与すると思われるエゴグラムの特徴を求め, 興味ある結果を得たので報告する. 【対象及び方法】対象は, 平成元年より平成13年までに入学した学生498名(P...
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Veröffentlicht in: | 理学療法学 2003-04, Vol.30 (suppl-2), p.266-266 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【はじめに】理学療法士, 作業療法士の教育において, 専門的知識の習得のみでなく医療人としての人間性, 社会性という職業への適正も重要な因子である. 医療の臨床場面や教育現場での対人関係を円滑にする方法として, 交流分析が活用されている. エゴグラムは, 自我状態の機能分析をグラフ化したものであり, そのパターンより自分の性格特性や行動パターンの特徴を理解するものである. 新入生の入学初期にエゴグラムを実施し, 学年末の成績と留年及び中退に関与すると思われるエゴグラムの特徴を求め, 興味ある結果を得たので報告する. 【対象及び方法】対象は, 平成元年より平成13年までに入学した学生498名(PT278名, OT220名:男性200名, 女性298名)である. 入学直後に東大式エゴグラム(TEG)を実施し, その結果と3月時の学年末成績結果(順位より上位, 中位, 下位とした)及び留年, 退学との関連を比較検討した. なお, 留年及び退学者の規定は, 3年次卒業までの該当者とし述べ53名であった. 27のエゴグラムパターンを類似した8型に分類し, 独立性の検定を行い男女別, 学科別, 成績順位別, 留年, 退学者と進級者別に比較検討した. 更に, TEGの5要素を変量として主成分分析を行い, 各学生の類似性を求めた. データの入力, 出力及び統計解析は, 専用のソフトを自作した. 【結果及び考察】新入生のエゴグラムパターンで出現率の高いのは, N型(お人好し, おふくろさん, ワーカーホリックタイプ)が21.9%, 台形型(マイホーム, ボランテイア, 自己中心タイプ)が11.6%, NP優位型(世話やきタイプ)が11.0%, M型(昔の親分タイプ)が10.2%, V型(イライラ, 空想家, 忍の一字タイプ)が10.0%である. 逆に出現率の低いのは, W型(自罰タイプ), 右下がり型(頑固親父, 管理者タイプ), 逆N型(孤高の人, プレイボーイ, 思い込みタイプ), U型(フラストレーション, 爆発, いじけやすいタイプ)である. 新入生の特徴として, NPの高い学生が多く共感や思いやりの保護的な性格傾向をもっており, 対患者関係においても優しい面がスムーズに表出できる. 反面, CP的要素(厳しさ, 批判的)が低いため自分に流されやすく義務感, 責任感など社会秩序の維持能力の低さが観察される. TEGを8型に分類しx二乗検定を行った結果, 男女別(p=0.1239), 学科別(p=0.5902), 成績別(p=0.5190)と有意差を示さなかった. 留年, 中退生と進級生の比較では, U型及びV型が留年, 中退生に多い傾向を示した(p=0.0211). 留年生群は, 成績下位群と同様に, A低位型(空想家タイプ)やU型(爆発タイプ)が多く合理的, 計画的な思考行動が苦手なタイプで系統だった学習方法をうまく組み立てられない学生群と思われる. 中退生15名の内, 成績不良以外の理由により学生は5名であったが, 各学生に共通のパターンは確認できなかったことより, 未然の対応の難しさを痛感する. 主成分分析の結果では, CP, NP, ACが第1主成分(Z1)と, A, FCが第2主成分(Z2)と関連を有した. |
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ISSN: | 0289-3770 |