脳卒中患者の肩・上肢痛に対する非伸縮性テープ(マイオ・テープ)療法の試みと結果

脳卒中患者の回復過程に出現する肩・上肢痛の原因は, 麻痺による筋緊張の異常や亜脱臼による軟部組織の持続的な伸張による軟部組織の損傷, 交換神経の障害, 不動作性に対する過剰な関節運動や筋伸張による腱炎, 関節包炎, カルシウム沈着, 異所性化骨等に起因する肩峰や鳥口肩峰靭帯と上腕骨頭間の滑膜包や回旋筋腱板のインピジメントが上げられるが, 今回当院に入院中の脳卒中患者で肩・上肢痛を訴えた症例に対し, 運動器疾患の鑑別評価に基づき私が考案した非伸縮粘着テープ(以下マイオ・テープと略す)を用いて治療を行い, 一定の治療効果を得たので報告する. 〔目的〕運動器疾患の鑑別評価に基づきマイオ・テープを原因・症状別に運動器官の皮膚上に貼付し, 原因部位への圧迫・保護・補強・一部部分固定を行い, 疼痛の軽減と除痛を図り, 筋緊張を緩和させる目的で実施した. 〔対象〕平成10年8月から平成12年4月までの1年8ヵ月間に入院した脳卒中患者69名中, 肩・上肢痛を訴えた14症例であった.