腰痛を有する症例の職場復帰に関するリハビリテーションの再考

[目的]体幹筋の筋力低下は腰痛発症の一要因になり, また, 腰痛を有する症例では健常者に比べ, 体幹筋の筋力が低下していることが諸家により報告されている. よってわれわれも, 腰痛を有する症例が職場復帰を目指すのに際して, 体幹筋の筋力強化を重要視したリハを行ってきた. しかし, 長時間の立位や, 頻回な重量物運搬を余儀なくされるような職種では, 体幹筋の筋力のみならず, 筋持久力についても視野に入れたアプローチが必要となる. ところが, 腰痛を有する症例における体幹筋の筋持久力に関して定量的な評価を行った報告は少ない. そこで今回, 体幹の筋力測定器を用いて, 筋持久力の定量的な評価を行った. [対象・方法]男性18名(平均年齢23歳, 平均体重54kg, 平均身長172cm)および女性29名(平均年齢21歳, 平均体重52kg, 平均身長158cm)を被検者とした. そのうち, 慢性腰痛を有する男性5名, 女性8名を腰痛群とし, そして残りの男性13名, 女性21名を健常群とした.