理学療法士の法と理論に対する関心
【目的】日本の理学療法士(以下PT)が, どれだけ「法律」に関心を持っているのかを知るためアンケート調査を行った. 【方法】アンケート対象は, 日本理学療法士協会発行の会員名簿(平成9年度版)より, ランダムに「医療施設」, 300施設を抽出した(小児の問題は倫理的に特殊と考え, 小児専門病院は除外した). アンケート形式は郵送による回答選択方式(一部自由記述). データは経験年数:5年毎で集計し, 一部はクロス集計(2×2)にて統計的解析を行い, Fisherの危険率5%以下を有意な分布の便りとした. 【結果】300施設のうち回答があったのは100施設. 回収率は33.3%. このうち2件は...
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Veröffentlicht in: | 理学療法学 2000, Vol.27 (suppl-2), p.370-370 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】日本の理学療法士(以下PT)が, どれだけ「法律」に関心を持っているのかを知るためアンケート調査を行った. 【方法】アンケート対象は, 日本理学療法士協会発行の会員名簿(平成9年度版)より, ランダムに「医療施設」, 300施設を抽出した(小児の問題は倫理的に特殊と考え, 小児専門病院は除外した). アンケート形式は郵送による回答選択方式(一部自由記述). データは経験年数:5年毎で集計し, 一部はクロス集計(2×2)にて統計的解析を行い, Fisherの危険率5%以下を有意な分布の便りとした. 【結果】300施設のうち回答があったのは100施設. 回収率は33.3%. このうち2件は記述に不備があったため除外, 総数98件を検討した. PT内訳は, 男性74, 女性24人, 平均年齢35歳(21歳-58歳). 経験年数は平均11.6±77年で, なんらかの役職に付いている者が56人(57.14%)であった. 施設内訳は, 一般病院が77施設(79.4%), 大学病院12, 精神病院1, その他として長期療養型病床群を含む老人病院が8施設であった. 病院規模は, 病床数平均354.1±238.7床(50-1200床)で, 理学療法施設認可は「I」が26施設, 「II」が64施設, 「III」が4施設, 「認可なし」が1施設であった. またリハビリテーション科スタッフ数は, 総数で平均120±95人で, PT数のみでは平均5.7±4.3人(1人-22人)であった. 法律への関心があると答えた者は65名(66.3%)と6割強を占めた. 卒前に理学療法士法(以下PT法)について講義を受けた者は55名で, 「PTの義務」「PTの権利」を知っている者は各々66名, 46名であった. 「患者の権利について考えたことがある」と答えた者は71名で7割を越えたが, 「考えたことがない」という者も24名存在し, 臨床経験5~10年目の群で多かった. 臨床で患者に訓練内容を説明していると答えた者は9割を越え, 患者への「説明」はほぼ定着している. 一方, 「訓練プログラムの立案に患者の意見が反映されている」と答えた者は64名で, 「ほとんど反映されない」が27名と3割弱を占め, 「同意」の難しさがうかがわれた. カルテ開示に対し「関心がある」は58名, 「関心がない」は33名であった. 「PTとして業務上の問題で法律を意識したことがある」と答えた者は47名, 「ない」と答えた者は49名で, 役職の有無との関係を調べたところ, 関係性は認められなかった(P>0.99). 施設での各種委員会の設置状況は, 倫理委員会15施設, 医療事故に関する委員会41施設, 情報開示に関する委員会10施設重複回答)であり, 委員会のない施設は44施設であった. 【考察】今回の調査結果は, 日本のPTの法律への関心の高さを示した. しかし, PT法の根本理念である「患者の権利への配慮」に欠ける回答や, PT法の示す「PTの権利・義務」への理解の不十分さなど, PTの法意識が表面的であることが推測された. また管理職の立場にあるPTの, 法的責任に対する認識の低さも問題として挙げられた. 今後, 教育, 啓蒙体制の充実が望まれる. |
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ISSN: | 0289-3770 |