FIM-FRGsコンピュータソフトの試作

我が国では近年の急速な高齢化により, 医療・福祉分野は多くの問題に直面している. そのなかで, 医療費削減と入院期間の短縮は避けられないものである. これはリハビリテーション分野においても例外ではなく, 入院期間の短縮に伴い早期の機能訓練が制約されることになる. したがって, 入院早期より患者の身体状況を明確にし, 効率よくリハビリを進めていく必要がある. その観点では, StinemanらのFIM-FRGs(FIM-Function Related Groups)の報告による入院期間の提示は, 理学療法施行上のタイムスケジュールをより具体化するための助けとなる. しかし, 機能的自立度評価法...

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Veröffentlicht in:理学療法学 2000, Vol.27 (suppl-2), p.364-364
Hauptverfasser: 小林賢, 遠藤敏, 八並光信, 市川雅彦, 東海林淳一, 今井覚志, 田中直次郎, 須藤彰一, 寺門早苗, 上迫道代, 長谷公隆, 正門由久, 千野直一
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:我が国では近年の急速な高齢化により, 医療・福祉分野は多くの問題に直面している. そのなかで, 医療費削減と入院期間の短縮は避けられないものである. これはリハビリテーション分野においても例外ではなく, 入院期間の短縮に伴い早期の機能訓練が制約されることになる. したがって, 入院早期より患者の身体状況を明確にし, 効率よくリハビリを進めていく必要がある. その観点では, StinemanらのFIM-FRGs(FIM-Function Related Groups)の報告による入院期間の提示は, 理学療法施行上のタイムスケジュールをより具体化するための助けとなる. しかし, 機能的自立度評価法(FIM ;Functional Independence Measure)は他のADL評価に比し, 詳細に評価できる反面, 多くの時間を要する. そこで我々は, 大田らが開発した質問紙によるFIM評価を参考にして, 簡便かつ短時間で施行できる方法としてのコンピュータソフトを作成した. 【方法】 コンピュータソフトの初期画面では, FIMの運動13項目と認知5項目の合計18項目を表示し, 各項目別に評価できるものとした. この項目ごとの評価は, 基本的にはYesかNoの選択肢に答えることで次画面に展開する方法をとった. 内容はすべて質問形式にて行うものであり, 使用者に理解しやすいようにより具体的なADL内容を提示した. 質問内容は自立度の高いものから順に低いものに移行するようにし, 終了時にはその項目の点数を表示するものとした. 加えて, 点数表項目を選択することで各項目別及び総合得点を提示できるものとした. なお, コンピュータソフト作成には, Windows版Macromedia社製Authorware5.0Jを用いた. 【考察】 コンピュータソフトによるFIMの使用は, リハビリテーション従事者は言うまでもなく, 他の医療スタッフにおいても比較的容易に使用可能である. また, 評価内容に実際のADL場面をより多く取り入れたことで, 患者及び家族に対して詳細な情報が提供でき, 医療者以外の者でも評価可能と考えられる. 現在, 米国ではFIM-FRGsによる医療システムが急速に進んでおり, 近く我が国にも導入される. したがって, これからはさらにFIMの重要性が増大することが考えられる. 早期からADL状況及び入院期間を把握することによって, その後のリハビリテーションプログラムをより効率的に進めてゆくことが可能となり, 詳細な治療計画の作成の一助となると考える. 今後はFIM各項目の質問に答えることにより, FIM-FRGsに基づく予測入院期間をより詳細に提示できるコンピュータソフトを作成する予定である.
ISSN:0289-3770