Nordic Slingを用いた腰部骨盤帯Hangingが腰椎に及ぼす効果

(目的)腰椎牽引には種々の方法があるが, 背臥位にて股関節, 膝関節90°屈曲位での腰部骨盤帯hanging(以下hanging)は, Cottrellらが提唱し, 本邦においても吉田らがその効果を急性腰痛患者の腰椎X線前後像で検討している. その報告では, 椎間側屈と骨盤傾斜が改善し, hangingの作用は椎間関節離開と復位としている. 今回我々はhangingをNordic slingを用いて行ない, 腰椎に及ぼす効果をX線前後像ではなく側面像を撮影し, 健常例で検討した. (対象および方法)対象は健常男性10例, 年齢20~40歳(平均26. 5歳)とした. hangingはTerap...

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Veröffentlicht in:理学療法学 2000, Vol.27 (suppl-2), p.347-347
Hauptverfasser: 藤本修二, 荒木秀明, 福田旨宏, 菅谷涼子, 椎葉睦生
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:(目的)腰椎牽引には種々の方法があるが, 背臥位にて股関節, 膝関節90°屈曲位での腰部骨盤帯hanging(以下hanging)は, Cottrellらが提唱し, 本邦においても吉田らがその効果を急性腰痛患者の腰椎X線前後像で検討している. その報告では, 椎間側屈と骨盤傾斜が改善し, hangingの作用は椎間関節離開と復位としている. 今回我々はhangingをNordic slingを用いて行ない, 腰椎に及ぼす効果をX線前後像ではなく側面像を撮影し, 健常例で検討した. (対象および方法)対象は健常男性10例, 年齢20~40歳(平均26. 5歳)とした. hangingはTerapi Masterを用い, Hanging PointをL4/5間Sling Pointを骨盤帯, 下腿近位, 踵部とし, 棘L1突起が離床するまで行なった. X線撮影は, 腰仙椎側面像を以下の4回行なった. 1)ベッド上背臥位で, 股関節, 膝関節90°屈曲肢位のhanging前, 2)hanging直後3)hanging15分後, 4)hanging終了直後で1)と同肢位. 得られたX線側面像から以下の項目を測定し1)のhanging前と比較検討した. (1)L1椎体上面と仙骨上面のなす腰椎前弯角, (2)水平面と仙骨上面のなす仙骨上面傾斜角, 以下はL1/L2/L3/L4/L5/S1間の(3)椎体間前方部の前下縁と前上縁の椎体間前縁距離, (4)椎体間後方部の後下縁と後上縁の椎体間後縁距離, (5)椎間孔前後径, (6)椎間孔上下径. (結果)(1)腰椎前弯角と(2)仙骨上面傾斜角は, hanging直後から有意に減少した. (3)椎体間前縁距離は, hanging直後減少したが15分後では, hanging前の値まで増加した. (4)椎体間後縁距離, (5)椎間孔前後径, (6)椎間孔上下径は, hanging15分後L3/L4, L4/L5, L5/S1間で有意に増加した, またhanging前とhanging直後では, 全計測項目で有意差を認めなかった. 全ての被験者には, 事前に実験内容を十分に説明し同意を得た. (考察)今回の結果から, 股関節, 膝関節90°屈曲位での腰部骨盤帯hangingが下位腰椎後方部の離開に作用することを認めた. これは重力除去腰椎前弯の減少, リラクゼーションによる筋群の緊張緩和によるものと考えられる. また, hanging時に椎体間前縁距離は変わらず, 後縁距離が増加することから椎間板内圧が若干陰圧化することが推察される. 以上の効果から, リラクゼーション下で椎間孔を拡大できるhangingは, 保存療法に抵抗を示す下位腰椎の脊柱管狭窄症, 椎間板ヘルニアなど多くの疾患に適応できると考えるが, 他の牽引療法との比較, 疾患例での効果判定が今後の課題であり, さらに疾患別でHanging Point, Sling Pointを変更しての検討が必要であると考える.
ISSN:0289-3770