等速性運動機器における等速性運動は本当に等速か?
(目的)われわれは等速性運動機器を使い, 椅子坐位での膝伸展運動が, 低速度(60deg/sec), 中速度(180deg/sec), 高速度(300deg/sec)の3種類の角速度において, それぞれの角速度にどの程度達するのかという角速度達成率を検討し, それぞれの角速度によって異なるという結果を得た. さらに, 角速度が高速になるにつれ, 等速性運動が行われていないという知見を得た. そこで, さらに同肢位での膝屈曲運動における同じ3種類の角速度についても検討したので報告する. (方法)対象は本研究に賛同し, 同意の得られた本学の男子学生8名とした. 等速性運動機器はBiodex Sys...
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Veröffentlicht in: | 理学療法学 2000, Vol.27 (suppl-2), p.342-342 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | (目的)われわれは等速性運動機器を使い, 椅子坐位での膝伸展運動が, 低速度(60deg/sec), 中速度(180deg/sec), 高速度(300deg/sec)の3種類の角速度において, それぞれの角速度にどの程度達するのかという角速度達成率を検討し, それぞれの角速度によって異なるという結果を得た. さらに, 角速度が高速になるにつれ, 等速性運動が行われていないという知見を得た. そこで, さらに同肢位での膝屈曲運動における同じ3種類の角速度についても検討したので報告する. (方法)対象は本研究に賛同し, 同意の得られた本学の男子学生8名とした. 等速性運動機器はBiodex System3を用い, 右膝伸展・屈曲の等速性運動を実施した. 運動範囲は膝屈曲100°~10°とした. 低・中・高速度の各角速度を十分な練習の後, 休息をはさんだ各5施行で測定した. 3種類の角速度の測定順はランダムとした. データはBiodex3から出力されるトルク, 角度および角速度をサンプリング周波数2KHzでアナログ・デジタル変換し, パーソナルコンピュータに取り込んだ. 各々の角速度については, 5施行のうち最大のpeak torqueが発揮された試行をデータとして採用し, 以下の処理を加えた. 膝角度変化をもとに全運動範囲のデータ数を算出した(A). 次に目的とする角速度が出現しているデータ数を算出し(B), 全運動範囲に対する達成率(B×100/A)を求め, 「角速度達成率(%)」と定義した. 統計処理は二元配置分散分析, post-hoctestを用い, 有意水準を5%未満とした. (結果)1)角度達成率:膝屈曲における角速度達成率は角速度が60deg/secでは94.7±1.8%, 180deg/secでは77.0±5.1%, 300deg/secでは54.8±4.6%であった. 3種類の角速度における角速度達成率を二元配置分散分析で比較した結果, 角速度間に有意差が認められ, さらにpost-hoc testを行った結果, 3種類の角速度間すべての組み合わせで有意差が認められた. われわれが以前に行った膝伸展での結果と同様に, 膝屈曲においても角速度の増大に伴い角速度達成率が減少する傾向を示した. 2)膝伸展と屈曲における角度達成率の比較:膝伸展と屈曲における3種類の角速度を二元配置分散分析で比較したが, 統計学的に有意差が認められなかった. (考察)膝伸展の主動作筋である大腿四頭筋と膝屈曲の主動作筋であるハムストリングスはpeak torque, および筋組成などが異なっている. そのため, 膝伸展と屈曲において, 角速度達成率が異なると考えられたが, 3種類の角速度において角速度達成率は同じであった. 等速性運動における角速度達成率はpeak torque, および筋組成に影響されないということが示唆され, 他の関節における等速度運動においても検証する必要があると考えられた. また, 膝屈曲においても3種類の角速度で角速度達成率は異なり, 必ずしも設定した角速度での等速性運動が行われておらず, 角速度が高速になるにつれその傾向は顕著であった. |
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ISSN: | 0289-3770 |