脳卒中患者のトイレ動作の自立度について
(目的)トイレ動作の障害は日常生活上の制約因子であり, 心理的側面や環境的側面からもリハビリテーション上重要な因子である. 脳卒中患者の排尿障害は, 尿失禁, 頻尿などの蓄尿障害, 尿閉などの排出障害などがある. これら排尿機構の障害に加え, 移乗や衣服の着脱, 紙の使用など一連の動作障害でトイレ動作が自立に至らない例を経験する. そこで今回は, トイレ動作の自立度に寄与する因子を探ることを目的に, 年齢や上下肢の動作遂行能力, 痴呆の重症度, 性差などを調査し, 検討を行ったので報告する. (対象)秋田県立リハビリテーション・精神医療センターで1997年7月から1999年3月までに理学療法を...
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Veröffentlicht in: | 理学療法学 2000, Vol.27 (suppl-2), p.309-309 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | (目的)トイレ動作の障害は日常生活上の制約因子であり, 心理的側面や環境的側面からもリハビリテーション上重要な因子である. 脳卒中患者の排尿障害は, 尿失禁, 頻尿などの蓄尿障害, 尿閉などの排出障害などがある. これら排尿機構の障害に加え, 移乗や衣服の着脱, 紙の使用など一連の動作障害でトイレ動作が自立に至らない例を経験する. そこで今回は, トイレ動作の自立度に寄与する因子を探ることを目的に, 年齢や上下肢の動作遂行能力, 痴呆の重症度, 性差などを調査し, 検討を行ったので報告する. (対象)秋田県立リハビリテーション・精神医療センターで1997年7月から1999年3月までに理学療法を施行した脳卒中患者125例である. 内訳は, 平均年齢66.8歳, 平均罹病期間299.6日, 男性66例, 女性59例であった. (測定)トイレ動作の自立度は, Barthel Indexを施行し, その下位項目のトイレ動作のスコアを指標に, 10点を自立, 5点を一部介助, 0点を介助とした3群に分類した. 車椅子や手すりの使用, 自助具の使用は許可した. また同時期に動作遂行能力指標として, 下肢・体幹運動年齢テスト(MOA), 上肢機能の指標として脳卒中上肢機能テスト(MFS), 痴呆重症度の指標として長谷川スケール改訂版(HDS-R)を施行した. (分析)分析は, トイレ動作自立度の3群を従属変数に, 年齢, 性別, 罹病期間, MOA, 健・患側MFS, HDS-Rの7項目を独立変数に重判別分析(ステップワイズ, U検定)を行い, トイレ動作の自立度に影響する因子を検討した. (結果および考察)1.対象の特性はトイレ動作自立57例, 一部介助29例, 介助39例, 平均MOA27.1ヵ月, 患側MFS 48.6%, 健側MFS 89.1% HDS-R 19.3点であった. 2.トイレ動作の自立度と各変数との重判別分析の結果, 第1位投入がMOA, 次いで患側MFS, HDS-Rの順に抽出された. 他の変数は抽出されなかった. 標準化正準判別係数(I,II)は, MOA(0.844,-0.712)患側MFS(0.331, 0.853)HDS-R(0.452, 0.417)となり, 体幹・下肢運動年齢がトイレ動作自立度への影響が強いことが判明した. このことから, 立ち上がりや立位バランス, 移乗時のターン動作など, 動作遂行能力の高さが一連のトイレ動作の中で重要であることが示唆された. 患側上肢に関しては, ズボンの更衣などに関与が伺われ, 車椅子ブレーキ操作や足の位置確認などで痴呆の重症度が関与すると思われた. 年齢, 性差, 健側上肢機能は関与が少ない結果となった. |
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ISSN: | 0289-3770 |