チーム医療と理学療法士の役割

リハビリテーション医療の成否に関わる要因として, チームアプローチは重要である. そこで今回当院で行われているチーム医療の流れと, その中における理学療法士の役割について紹介する. 「施設概要」当院は216床のリハ専門病院である. 主なリハスタッフは, 医師9名(リハ専門医1名), PT13名, OT4名, ST2名, MSW3名となっている. 入院患者は, 急性期病院からの紹介入院が大半を占め, 疾患割合では脳卒中が6割強, 高齢者骨折術後が2割強, その他神経疾患, 脊髄損傷, 交通外傷などとなっている. 患者の平均年齢は69歳で, 入院してくる時期も発症から1ヶ月ほどで転院してくるケース...

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Veröffentlicht in:理学療法学 2000, Vol.27 (suppl-2), p.295-295
Hauptverfasser: 仲栄真勝, 千知岩伸匡, 佐久田あゆみ, 濱元朝優, 新垣盛宏, 久保田静, 下地真由美, 伊波さおり, 与儀哲弘, 小橋川敦, 仲田剛, 桑江陽子, 大嶺寿美子, 今村義典, 末永英文, 嶋田智明
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:リハビリテーション医療の成否に関わる要因として, チームアプローチは重要である. そこで今回当院で行われているチーム医療の流れと, その中における理学療法士の役割について紹介する. 「施設概要」当院は216床のリハ専門病院である. 主なリハスタッフは, 医師9名(リハ専門医1名), PT13名, OT4名, ST2名, MSW3名となっている. 入院患者は, 急性期病院からの紹介入院が大半を占め, 疾患割合では脳卒中が6割強, 高齢者骨折術後が2割強, その他神経疾患, 脊髄損傷, 交通外傷などとなっている. 患者の平均年齢は69歳で, 入院してくる時期も発症から1ヶ月ほどで転院してくるケースから, 1年以上経過してから転院してくるケースまで様々である. 「チームによる情報交換の場」当院では, チーム医療を円滑に進めるために入院から退院・在宅にいたるまでの様々な段階に合わせた情報交換の場を設けている. 主な情報交換の場は, (1)毎朝のミーティング(2)新患カンファレンス(3)ブレースクリニック(4)リハビリ回診(5)総合回診(6)リハビリカンファレンス(7)地域ケアカンファレンス(8)デイケア評価会議などである. これらの情報交換会議には, (3)・(4)を除いて薬剤師・栄養士・事務職なども参加している. 「理学療法士の役割」当院では, 入院時の医師の診察に, その患者の担当となるPTが参加する. PTは医師の診察と同時に簡単なPT評価を行い, 新患の移動能力や入院生活上注意すべき点を病棟スタッフにその場で伝える. このことで, 入院1日目より適切な介護が行え, 転倒や誤用症候群の予防につながっていると思われる. さらに, PTが当番制で病棟申し送りに参加し, 新患の詳しい情報を伝達するとともに, 病棟からの情報(夜間の状態や身体状況の変他も収集し, すべてのリハスタッフに朝のうちに伝達する. 「理学療法士の役割についてのアンケート」チーム医療の中におけるPTとして他職種からどのように理解され, 期待されているかを知る目的で, 当院職員を対象としてアンケート調査を行った. アンケートの回収率は35名(70%)であり, 職種率は医師2名(5.7%), 看護婦7名(20%), ケアワーカー11名(31.4%), MSW2名(5.7%), 事務職4名(11.4%), 薬剤師4名(11.4%), 検査技師1名(2.9%), レントゲン技師1名(2.9%), 栄養士3名(8.6%)であった. (1)「当院PTがどのような役割を担っているか」(重複回答)については, 「機能回復」25名(71.4%), 「社会復帰への支援」15名(42.9%), 「ADL拡大」14名(40%)の順であった. (2)「当院PTが果たしている役割以外にどのような役割を期待するか」(重複回答)については, 「特になし」15名(42.9%), 「情報提供」9名(25.7%), 「他部門への指導」5名(14.3%)の順であった. (3)「あなた自身はPTとの連携が取れているか」については, 「十分取れている」0名(0%), 「取れている」22名(62.9%), 「あまり取れていない」10名(28.6%), 「取れていない」3名(8.6%)であった. (3)の質問に対して「あまり取れていない・取れていない」と回答したものを対象に, (4)「どのようなところでPTとの連携が取れていないと思うか」の質問については, 「情報交換不充分」4名(30.8%), 「機会不足(多忙・職種の違い)」5名(38.5%), 「わからない」3名(23.1%), 「その他」1名(7.7%)などの回答があった. 以上の結果より, PTの役割については正しく理解されている傾向にあった. また, 他職種がPTとの情報交換不足を感じ, 積極的な情報提供を期待していることが分かった.
ISSN:0289-3770