機能訓練事業B型の効率的運用に関する調査
機能訓練事業B型は, 地域における虚弱高齢者等の社会参加を目的とした通所型の老人保健事業である. 保健婦等の援助を受けながら, 公民館等で住民が主体的に運用していることが多い. 虚弱高齢者等の閉じこもり予防に向けて, 必要性が高い事業であるが, 担い手の育成・体制づくりが追いつかず, 効果的運用が難しい状況にある. 運用形態が異なる3市で, 現状と課題をまとめる. 「対象と方法」大阪府A市, 滋賀県B市, 宮城県C市の機能訓練事業B型及びこれに相当するミニデイについて, 保健婦等からの聞き取り, 資料調査を行った. 機能訓練事業B型等を始めるにあたって, 大阪府A市は地域の既存組織を利用してお...
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Veröffentlicht in: | 理学療法学 2000, Vol.27 (suppl-2), p.280-280 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 機能訓練事業B型は, 地域における虚弱高齢者等の社会参加を目的とした通所型の老人保健事業である. 保健婦等の援助を受けながら, 公民館等で住民が主体的に運用していることが多い. 虚弱高齢者等の閉じこもり予防に向けて, 必要性が高い事業であるが, 担い手の育成・体制づくりが追いつかず, 効果的運用が難しい状況にある. 運用形態が異なる3市で, 現状と課題をまとめる. 「対象と方法」大阪府A市, 滋賀県B市, 宮城県C市の機能訓練事業B型及びこれに相当するミニデイについて, 保健婦等からの聞き取り, 資料調査を行った. 機能訓練事業B型等を始めるにあたって, 大阪府A市は地域の既存組織を利用しており, 宮城県C市は新しく任意団体を組織している. 滋賀県B市は両者を含んでいる. 「結果」大阪府A市には, 民生委員・学区社協・老人クラブ・婦人会・ボランティア等を含む地域ネットワーク委員会があり, 機能訓練事業B型の多くが委託されている. 地域ネットワーク委員会は, 従来から会食会や健康講座等を行っており, それらに平成10年度から機能訓練事業B型が組み合わされた. このため地域ネットワーク委員会の一部には押しつけられたという意識があり, 従来からの参加者が多く新しい人が参加しにくい等の問題を抱えている. 滋賀県B市では, 学区社協や町内会がボランティアを登録して, ミニデイを行っている. 当初, 保健センターが援助して機能訓練事業B型を行っていたが, 協力機関が市社協や特別養護老人ホームの地域福祉推進室へと移った. 市から協力機関に補助金が出ており, ボランティア経費等がまかなわれている. 頻度の増加が課題であるが, 来年度以降の補助金が決まらず計画が立てられない状況である. 宮城県C市では平成7年度からリーダー研修をしており, 平成8年度からリーダー研修卒業生, 民生委員・町内会員等が任意にグループを作って, ミニデイを行っている. ミニデイの運用は, グループの自主性にまかされており, 体操を中心としたものから, 宴会に近いものまで様々である. 周囲とのつながりに乏しい閉鎖的なグループ活動になったり, 担い手の負担が大きいため頻度を増やすことが難しい等の問題を抱えている. 「考察」機能訓練事業B型を始めるにあたって, 既存組織を利用した場合, 実施ヶ所数や頻度を増やすのは比較的容易であるものの, これまでの活動内容の枠組みから出ることは難しいことが推測される. 逆に, 新しく任意団体を組織した場合, 自由な活動が可能であるものの, 頻度を増やすことが難しく, 地域的なつながりに乏しくなる危険性があると考えられる. 資金はいずれの場合も必要になるが, 特に既存組織を利用しつつ, 新しい任意団体を組織した場合に, 相方を取り持つ経費が必要になると考えられる. 虚弱高齢者等の閉じこもり予防に向けて, 実施ヶ所数・頻度の増加, 利用者に応じた柔軟な活動, 見守りネットワークを作っていくための地域的なつながりは不可欠であり, 継続的な担い手の育成・体制づくりによって, 機能訓練事業B型の効果的な運用が望まれる. |
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ISSN: | 0289-3770 |