座位姿勢の正中化が胸郭運動に及ぼす影響
【目的】呼吸器疾患において, 体幹機能の低下は胸郭可動性低下を引き起こす一因子となる. 慢性呼吸器疾患に対し, 徒手的に座圧中心位置を判定し, 上半身の姿勢との関係を分析し, 座圧中心, 上半身の姿勢をより正中化することで, 胸郭可動性が向上し, 呼吸困難感が緩和していくことを臨床上経験することが多い. 今回我々は座位における姿勢, 特に上半身の正中化が胸郭運動に及ぼす影響について興味ある結果が得られたので報告する. 【対象】対象被験者は脊柱に障害のない健常成人8名であった. 【方法】座位姿勢を調整する方法として, はじめに左右方向での座圧中心位置偏位を評価した. 次に, 被験者をインターリハ...
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Veröffentlicht in: | 理学療法学 2000, Vol.27 (suppl-2), p.160-160 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】呼吸器疾患において, 体幹機能の低下は胸郭可動性低下を引き起こす一因子となる. 慢性呼吸器疾患に対し, 徒手的に座圧中心位置を判定し, 上半身の姿勢との関係を分析し, 座圧中心, 上半身の姿勢をより正中化することで, 胸郭可動性が向上し, 呼吸困難感が緩和していくことを臨床上経験することが多い. 今回我々は座位における姿勢, 特に上半身の正中化が胸郭運動に及ぼす影響について興味ある結果が得られたので報告する. 【対象】対象被験者は脊柱に障害のない健常成人8名であった. 【方法】座位姿勢を調整する方法として, はじめに左右方向での座圧中心位置偏位を評価した. 次に, 被験者をインターリハ社製のエアースタビライザーを椅子上に置き, 座ってもらった. そして頭部を空間上可及的に移動しないよう指示し, 優位に偏位が認められた側の対側へ座圧中心を移し, その状態で5分間端座位を保持してもらった. 評価は, 被験者を40cmの台上に端座位をとってもらい, 最大吸気と最大呼気を各々3回行わせた際の胸郭運動, 座位姿勢, 座圧中心位置について, 座位姿勢の調整前後で行った. 胸郭運動, 座位姿勢の計測では, カメラ6台構成のOxford Metrics社製のVICON370を用いた. マーカーの取り付けはG. Ferrignoらの方法を参考にし, 第2肋骨レベル, 剣状突起レベル, 第10肋骨レベル, 臍レベルとした. 前面, 及び後面の各々のレベルに3個づつ取り付け, 合計24個のマーカーを使用した. 座圧中心の計測にはkistlar社製の床反力計装置を用いた. 40cmの台上での座圧中心点を, 床反力計上の圧中心および, 床反力前後成分と垂直成分の比から計算した. 【結果】座位姿勢の調整後で, 座位姿勢はすべての被験者で有意に正中化を示した(P>0.05). 胸郭運動はすべての被験者で有意に増加を示した(p>0.05). 【考察】今回我々は座位姿勢を正中化することにより胸郭運動が増加したことを確認した. 各レベルでの前面, 及び後面にある体幹中心点を示す部位が座圧中心位置により近づいたということは, 体幹がより支持基底面の中心に集まり, 物理的に安定したことを示唆するものである. そして, 体幹の安定性の増加により, 体幹での姿勢制御機構が改善され, 脊柱の可動性が高まり, 胸郭運動の増加をもたらしたことが十分に予測される. 以上により, 座位姿勢の正中化は胸郭運動を向上させることから, 慢性呼吸器疾患に対する運動療法の一つとして寄与していく可能性があると考えている. |
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ISSN: | 0289-3770 |