リフティング動作時の体幹下肢の筋活動様式

「目的」本研究の目的はリフティング動作時の体幹および下肢の筋活動様式を明確にすることである. 「対象」健常男性10名, 平均年齢21.8±2.8歳, 平均身長171.1±3.3cm, 平均体重63.6±6.0kgであった. 「方法」立位にて体幹前屈, 股関節屈曲位から直立位までのリフティング動作の遂行時間をトルク制御機器にて1秒, 2秒, 3秒間に設定(以下1秒, 2秒, 3秒動作), 表面筋電図にて腰部筋, 腹直筋, 腹斜筋部および大殿筋, 内外側ハムストリングス, 大腿直筋部の筋活動を導出した. エレクトリカルゴニオメータを使用し, 腰部の角度変化を計測, この部位の運動開始を基準点として...

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Veröffentlicht in:理学療法学 2000, Vol.27 (suppl-2), p.130-130
Hauptverfasser: 古川公宣, 下野俊哉, 馬上直子, 村橋淳一, 豊田愼一, 田中深雪
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「目的」本研究の目的はリフティング動作時の体幹および下肢の筋活動様式を明確にすることである. 「対象」健常男性10名, 平均年齢21.8±2.8歳, 平均身長171.1±3.3cm, 平均体重63.6±6.0kgであった. 「方法」立位にて体幹前屈, 股関節屈曲位から直立位までのリフティング動作の遂行時間をトルク制御機器にて1秒, 2秒, 3秒間に設定(以下1秒, 2秒, 3秒動作), 表面筋電図にて腰部筋, 腹直筋, 腹斜筋部および大殿筋, 内外側ハムストリングス, 大腿直筋部の筋活動を導出した. エレクトリカルゴニオメータを使用し, 腰部の角度変化を計測, この部位の運動開始を基準点として動作時間全体を200msecごとに積分したものを最大筋力で除し標準化した. 「結果」基準点以前ではリフティング動作の遂行時間の長いほうが各筋の活動開始および増加が早期化する傾向が見られた. 基準点以降では1秒動作において, 外側ハムストリングスは動作時間の20-40%で32%MVC, 内側は45%MVCまで増加し, 続いて腰部筋が40-60%で63%MVCまで増加した. 2秒動作では20-40%で両側ハムストリングスがピークに達し, その値は外側が37%MVC, 内側が58%MVCであり, 続いて腰部筋が40-60%でピークに達し, 69%MVCであった. 3秒動作では0-20%で両側ハムストリングスがピークに達し, 外側は45%MVC, 内側が68%MVCであり, 腰部筋は40-60%で69%MVCのピーク値を示した. 大殿筋は各動作において, 腰部筋と同時期にピークに達し, 活動量は23, 38, 45%MVCであった. 腹斜筋群は徐々に活動を上げ, 腰部筋と同時期にピークに達したが活動量は低いものであった. 腹直筋は各動作を通して低く, 変化のない活動であった. 大腿直筋は測定時間を通して常に活動を増加しつづけたが, 3動作とも活動量に差はなかった. 各動作において各筋の活動の優位性に大きな変化はなかった. 「考察」リフティング動作における負荷量の設定を動作時間で制御した結果, 各筋の活動はその遂行時間が長期化するにつれ興味深い変化を見せた. 腰部筋の活動の変化は, 負荷に対する活動の上限を早期に迎えることが示唆された. 最近の知見では重量物を保持, 挙上する動作は腰部筋のみの力源では遂行することが困難であり, 腹斜筋, 腹横筋群の脊柱伸展への関与が論じられているが, 本研究でもその傾向を示す結果を得た. またその活動性を補助する力源として, 大殿筋, ハムストリングスの作用が考えられ, 骨盤を介して腰部筋の出力を支えるために両筋の活動は著しく増加しており, さらに出力を増加させることで, 骨盤の固定と股関節の伸展という両方の作用に重要な役割を果たすことが示唆された. 「まとめ」今回の研究では筋活動の変化についてある程度の知見を得ることができたが, 腰部の角度変化をトリガーとして用いたのみで, 股関節の角度変化との関連性が不明確であった. 今後はこの点を考慮し研究を進めていく必要性を感じた.
ISSN:0289-3770