両側変形性股関節症における退院後のADL
リハビリ業務においては, 機能向上を図るのみでなく, 退院後に対する生活指導も重要とされる. 実際, 術後の変形性股関節症に関してもその機会は多く, 日常生活における活動量や自己管理についての報告も散見される. 今回, 両側の変形性股関節症を対象に, 退院後の生活状況について実態把握することとした. その際, 術後の隆過年数に着目し, 比較検討を加えた. この結果をもとに, 今後の退院時指導のあり方に, 若干の知見を得たので報告する. 【対象と方法】対象は当院整形外科にて両側変形性股関節症(進行期~末期)と診断され, 手術施行した40代以降の女性85名とした. 方法は, 郵送によるアンケート調...
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Veröffentlicht in: | 理学療法学 2000, Vol.27 (suppl-2), p.112-112 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | リハビリ業務においては, 機能向上を図るのみでなく, 退院後に対する生活指導も重要とされる. 実際, 術後の変形性股関節症に関してもその機会は多く, 日常生活における活動量や自己管理についての報告も散見される. 今回, 両側の変形性股関節症を対象に, 退院後の生活状況について実態把握することとした. その際, 術後の隆過年数に着目し, 比較検討を加えた. この結果をもとに, 今後の退院時指導のあり方に, 若干の知見を得たので報告する. 【対象と方法】対象は当院整形外科にて両側変形性股関節症(進行期~末期)と診断され, 手術施行した40代以降の女性85名とした. 方法は, 郵送によるアンケート調査及び面接法を用いた. 回収率75.3%(64名)であった. その中で, 内科的疾患(膠原病等)を有する症例は除き, 59名を改めて対象とした. 術式としては, 骨切り術もしくは全人工関節置換術を施行している. 術後経過年数において, 初期群・短期群・中期群・長期群に分類した. 初期群-術後3年未満(平均1年9ヵ月)の18名で平均62.4歳 短期群-術後3~6年(平均4年9ヵ月)の19名で平均64.3歳 中期群-術後6~10年(平均7年3ヵ月)の11名で平均60.7歳 長期群-術後10年以上(平均3年4ヵ月)の11名で平均68.2歳 アンケートの概要は, 身体状況(身長・体重・股関節の管理等), 歩行状況(疼痛・杖の使用状況・行動範囲等)生活様式・状況(各動作の困難度等)を問うものである. 【結果】1)身体:(1)体重管理の注意はあるが, 標準体重より20%越えた者は, 初期群5名(28%), 短期群6名(32%), 中期・長期群ともに4名(36%)であった. (2)退院後の筋力訓練に対し, 初期群で4名(23%)全くしていない者もいれば, 長期群における習慣の者3名(27%)はリハ通院なしであった. 2)歩行:(1)「術前より楽に歩ける」が4群の44名(75%)を占めている, 中期群までの「痛みをほとんど伴わない」24名(40%)であるのに対し, 長期群では10名(90%)が「ときどき痛みを伴う」ようである. (2)杖は4群の43名(73%)が使用し, 特に初期・長期群では80%以上の確率である. 行動範囲は, 各群ともに同程度(55%)で長距離を可能としている. 3)生活状況:(1)対象が女性ともあり, 家事を施行する者は, 48名(81%)である. その中, 各群買い物・掃除が大変とする者が32名(67%)と多かった. (2)生活の中では困難を来すものに, 床からの立ち上がり(39%)・爪きり(29%)をはじめ, 長期群に限らず歩行(14%)が挙げられた. 【考察】両側変形性股関節症を術後経過年数により分類したわけであるが, 対象自体は年齢的に差がない中での比較となった. 両側に着目した場合, 歩行における枝使用は, 片側の際より重要視されるのは言うまでもない. また両側に限らず, 買い物による荷物の運搬・床や風呂における掃除をはじめ, 床からの立ち上がりや爪切りは困難を要す状況にある. しかし, 退院後の生活の中で自分自身の方法・家族の協力により各動作を克服されつつある. |
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ISSN: | 0289-3770 |