パワステタイプ電動車椅子用後付け4入力式駆動装置の紹介

我々は, 1996年, ジョイスティック操作が困難な人のために, 普通タイプの電動車椅子に後付けする安価な4入力駆動装置を試作した. しかし, 歩道は車道側に傾斜しているため, 前進スイッチを押しても車道へ出てしまい, 実用性に問題があった. そこで, パワステタイプの電動車椅子に後付けする4入力駆動装置を作成した. [目的及び方法]スイッチで電動車椅子を制御する場合, 普通タイプとパワステタイプのどちらが適しているか, 回転半径・歩道での直進性・後退時の正確性について比較検討した. [装置の概要]スズキ社の電動車椅子MC60に後付けした. 本体とスイッチから成る. スイッチは使用者の機能に合...

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Veröffentlicht in:理学療法学 2000, Vol.27 (suppl-2), p.98-98
Hauptverfasser: 井内奈緒美, 石川正幸, 塩田和輝
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:我々は, 1996年, ジョイスティック操作が困難な人のために, 普通タイプの電動車椅子に後付けする安価な4入力駆動装置を試作した. しかし, 歩道は車道側に傾斜しているため, 前進スイッチを押しても車道へ出てしまい, 実用性に問題があった. そこで, パワステタイプの電動車椅子に後付けする4入力駆動装置を作成した. [目的及び方法]スイッチで電動車椅子を制御する場合, 普通タイプとパワステタイプのどちらが適しているか, 回転半径・歩道での直進性・後退時の正確性について比較検討した. [装置の概要]スズキ社の電動車椅子MC60に後付けした. 本体とスイッチから成る. スイッチは使用者の機能に合わせて配列した. [結果] 1. 回転半径. 左へ回転したときの右フットプレート右先端で測定した. 普通タイプ93cm. パワステタイプ1m. 2. 歩道での直進性. 歩道の傾斜はわずか2度. 普通タイプは, スタートから2.7mで車道へ降り, 20m間で4回も縁石に当たる. パワステタイプでは, スタート時の向きのまま前進した. さらに, 9度の傾斜でも直進した. 3. 後退時の正確性. 普通タイプでエレベーターに入り, そのまま後退して出る時, 前輪が回転してまっすぐ後ろに下がれない. そのずれはわずかであるが, ぎりぎりでエレベーターに入った時やエレベーター自体が狭い時などはエレベーター内で方向を修正しなくてはならない. しかし, パワステタイプなら, 入ることができれば後退のみでエレベーターから出ることができる. [症例紹介] W. T. 14才脳性麻痺アテトーゼ型 伸展優位. 左上肢の随意性がある. 正中線は越えられない. 寝返り不可. セットあぐら坐位は, 10秒程度保持可能. 電動車椅子に坐位保持装置を取り付けて坐位の安定を図り, 左上肢の正中線を越えるリーチを確認. スイッチは, 左上肢を主に使用するため, 使用頻度の高い前・左・右を左側に配列し, 誤動作を無くすためボックスの側面も利用した. 左の正中線を越えたリーチを促すため使用頻度の低い電源スイッチを上面右に, 右上肢の随意性を上げるため後退スイッチを右側面に配置した. 以前は, 普通タイプの4入力電動車椅子で練習していたが, 屋外移動では, 方向の修正が多すぎて介助を要求していた. しかし, パワステタイプに変更してからは, 屋内と同じ感覚で操作できるため, 楽しんで操作していた. [考察] 電動車椅子をスイッチでコントロールする人は, 運動機能障害が重度であり, 電動車椅子のスピードも低速が多い. その上, 歩道で度々方向修正をしたり, エレベーター内で方向転換をすれば, スイッチ操作の回数が多くなり, 移動に時間がかかる. パワステタイプは普通タイプに比べて回転半径が大きいため敬遠される傾向にあるが, 実際に計測すると回転半径は7cmしか違わない. スイッチ操作での実用性を考えるなら, 歩道での直進性と後退時の正確性を重視すべきである.
ISSN:0289-3770