モジュラー型車椅子を活用した車椅子処方システムにより処方された高齢障害者の車椅子について

機能的, 能力的な問題を多く有する高齢障害者に対しては既製品車椅子(以下W/C)だけでの対応は難しく, 高齢者の能力を考慮すればシーティングと駆動能力の両面から個別に評価し繊細な配慮をした処方が必要である. 当院では各種モジュラー型W/Cを用い高齢障害者にとって最適のW/C形状・機能を評価し, その評価データや社会的情報を基に本人の経済状態にも配慮し, 出来るだけ既製品W/Cに工夫を加えることを中心とした処方システムを採用している. そこで今回, 当院におけるW/C処方システムを紹介するとともに同システムにより処方された高齢障害者のW/Cについて若干の知見を得たので報告する. 【システム紹介】...

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Veröffentlicht in:理学療法学 2000, Vol.27 (suppl-2), p.97-97
Hauptverfasser: 中川晃秀, 濱地愛, 土田真澄, 西田宗幹, 山本浩, 宮原優子, 澤田怜子, 植松光俊
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:機能的, 能力的な問題を多く有する高齢障害者に対しては既製品車椅子(以下W/C)だけでの対応は難しく, 高齢者の能力を考慮すればシーティングと駆動能力の両面から個別に評価し繊細な配慮をした処方が必要である. 当院では各種モジュラー型W/Cを用い高齢障害者にとって最適のW/C形状・機能を評価し, その評価データや社会的情報を基に本人の経済状態にも配慮し, 出来るだけ既製品W/Cに工夫を加えることを中心とした処方システムを採用している. そこで今回, 当院におけるW/C処方システムを紹介するとともに同システムにより処方された高齢障害者のW/Cについて若干の知見を得たので報告する. 【システム紹介】W/C処方ニーズのあるケースに対して処方目的, 環境情報, 身体機能などの評価をする. 評価用W/Cとしてはタイプ(1)下肢・体幹変形適合用W/Cを用い, 安楽, 安定した座面・背もたれの形状設定を行う. 次にタイプ(2)シート奥行き調節・座面昇降式W/Cにて下肢駆動効率, トランスファーに最適な座面の高さ, 奥行きを選択する. 次にタイプ(3)自力駆動者用調節機能W/Cを用いタイプ(1), (2)での情報を基に種々の部位を調節し再度ADL全般を実生活の場において確認する. また, 頭部支持とリクライニング機能を必要とする全介助者ではタイプ(4)全介助者用調節機能付きW/Cにて背もたれや座面の角度を確認する. タイプ(1)における評価で確認した座面, 背もたれの形状は, 各種座・背クッションで次の段階の評価用W/Cに再現する. 以上の情報を基にW/Cの処方を行う. 【処方結果】平成10年11月13日よりW/C処方システムを導入し, 平成11年9月3日までに26名に処方した. その内訳としては男性7名, 女性19名, 平均年齢83.0±6.1歳(69~91歳)であった. W/C処方目的の1, 2番目に挙げた項目は, 安楽座位の獲得が最も多く46.2%で, ついで移乗効率の向上が32.7%であった. シート形状と駆動能力の関係では下肢駆動者6名中5名(83.3%)に対してハードシートを処方しており, 逆に上肢駆動では7名中6名(85.7%)にスリングシートが処方されていた. クッションのタイプ別比較では下肢駆動者6名中4名(66.7%)に比較的薄いクッションが処方され, 移乗能力の低いケース17名では表面が平らで移乗しやすいクッションが最も多く8名(47.1%), 体圧分散型6名(35.3%), 体位保持型1名(5.9%)に処方され, また, 軽介助以下の介助量で移乗を行えるケースでは9名中7名(77.8%)に体圧分散性の優れたクッションが処方されていた. 【考察】高齢障害者のW/Cの特徴として, 処方目的では安楽性, 移乗効率向上がより重視され, また下肢駆動者に対してはハードシートと薄型クッションが処方され, 駆動効率を重視する傾向がみられた. 移乗能力の低いケースに対しては表面が平らで移乗しやすいタイプのクッションが多く処方され, 移乗能力の高いケースほど支持性を重視したクッションが必要ということがわかった. 以上のことから高齢障害者のW/C処方におけるシーティングの重要性を再確認するとともに, これらの点を考慮する必要があると考えられた.
ISSN:0289-3770